ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「いつつ」は5こで「いっこ」は1つ~ピカピカの一年生の教養㉖~

 こんにちは、キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。

 

 ピカピカの一年生の教養、今回は「数え方」の話です。

 

 前回と前々回の2回にわたって「1から10までの数の理解」について考えました。

 

※前回の記事はこちら↓

 

kikyouken.hatenablog.com

 


「数を覚えた」と言ってもその理解の度合いは異なるので、その子が数の概念をどのくらい身につけているのか、チェックポイントを紹介させていただきました。

 

 今回はその補足として、「数の表現」について考えていきます。

 

 概念の理解とは別に、数を表す言葉をどのくらい覚えているかも、子どもによって異なります。

 大人にとっては「同じ数」の話をしていても、子どもにとっては「わかりづらい言い方」と「わかりやすい言い方」があるのです。

 

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◎数だけでも、いろいろ


「数とおなじだけ〇に色をぬりましょう」

 数を学習し始めた時期、数のドリルなどでよく見かける問題です。

 

 3 ○○○○○


 ↑このような問題がかわいらしい絵といっしょに書かれていて、


 3 ●●●○○


 ↑このように色をぬれば、正解というものです。

 


「いーち、にー、さーん」と数えながら塗るタイプの子と、1つ塗っては「いーち」と数え、もう一つ塗っては「いーち、にー」と数え…を繰り返して塗るタイプの子がいますが、いずれにしても、いくつ塗ったか数えて確かめる必要はありますね。

 まれに、「8」や「9」くらい数が大きくなってきても一切声や指を使わずに視覚だけで判断できる子も見かけますが、それは数を覚え数に慣れたからこその話なので、数を覚える途中であれば、やはり1つずつ数える必要があるでしょう。


 数の概念の理解がまだ不十分な時期は、こうした問題の「4」で失敗する場合があります。

『よん』まで塗らなくてはいけないのに、「いーち、にー、さーん、『しー』、ごー、…」と数えると、いつになっても『よん』に辿り着きません。どこまでも塗ってしまうことになります。

 

 1年生になる年代である程度数の学習をしてきている子だと、こうした失敗はほとんど見られないのですが、「ゼロ」と「れい」、「よん」と「し」、「なな」と「しち」、「きゅう」と「く」のどちらか一つだけをメインに覚えていて、もう片方だと瞬時には理解できない場合があるので声掛けの際には注意が必要です。

 

「数はわかっているはずなのに、子どもの反応が悪いな」と感じたときには、様子を見ながら言いかえてみることをお勧めします。

 

◎「6つ」を「ろくつ」と読む子は上級生にも


 もしも、「みかんを5つ持ってきて」と言われたのに1つしか持って来ない後輩を職場で見かけたらどう思いますか。

「人の話は最後までしっかり聞きましょう」と言いたくなるのではないでしょうか。

 

 でも小学1年生の子どもの場合は、話をしっかり聞いていてもこのような間違いをすることがあります。

 

「いち、に、さん…」という数を覚えていても、「ひとつ、ふたつ、みっつ…」という数え方になじみの無い子どもは少なくありません。

 

「みっつ」までは比較的使う機会があるためか多くの子が覚えていますし「よっつ」は「よん」に近いので、ここまではあまり難しくはないようです。

 

 これが「いつつ」以降になると通じない場合が少なくありません。

 また「むっつ」や「やっつ」は「え?わからない」という反応が出やすいのに対し、「いつつ」は「い」から始まるせいか「いち」と結びついてしまい、あとから間違いに気づくことが多いようです。  

 


 ちなみにこの数え方は国語の教科書に必ず載っているので、最終的には授業であらためて習うことになります。

 

 1年生後半で漢字を学習するようになると、漢数字ごとに何種類も読み方があることを送り仮名といっしょに学ぶのです。「数」としてというよりは、漢字の読み仮名を答える問題でテストにも出題されるので、それまでしっかり覚えられていなくても、このタイミングで身につけることができるでしょう。

 

 でも、「習った直後のテストの時はできたけど、数か月たったら忘れてしまう」なんていうことは、学校生活でいくらでもありますよね。もっと上の学年の子どもでも、「6つ」をつい「ろくつ」と読んでしまう姿を時々見かけるくらいです。

 

 それが、国語の授業でまだ習っていない1年生の時期なら、なおさらわからない子がたくさんいます。その事情がわかっていても、大人にとっては「5つ」も「5こ」も変わらないので、ついつい使ってしまうことはあるでしょう。

 

 そのため、この時期の子どもに数を伝えるときには、複数の表現を使うことをお勧めします。

 

「おはじきを3つ出してね、3こだよ」というように二通りの表現を繰り返し使うことで、数を正確に伝えることができますし、「〇つ」という表現を覚える機会にもなるでしょう。

 さらに、口頭だけではなく、指でも同じ数を表して見せるようにすると、理解も記憶もしやすくなるのでお勧めです。

 

 

◎後ろに「本」や「日」がつくと、またややこしい

 

 同じ「ろっこ」でも「ろく」と言ったり、「むっつ」と言ったり「ろっこ」と言ったりとややこしいのですが、これに「日」がついて「6日」になると、こんどは「むいか」と読むことになりますね。

 これはまだ「むっつ」と同じ「む」が使われていますが「8日」ともなれば、今まで8では全くでてこなかった「よ」を使うことになりますから、さらにややこしいと言えるでしょう。

 また、「6本」は「ろくほん」なのか「ろくぼん」なのか「ろくぽん」なのか「ろっぽん」なのか…などということも、大人になってしまえば当たり前の知識ですが慣れるまでは難しいものです。

 

 良く使われる基本的な単位についても、漢数字の学習といっしょに学校で扱われますが、「〇つ」表現に比べると、簡単にしか触れられないことが少なくありません。

 

 そこで「ピカピカの一年生の教養」でも、詳しく紹介していきたいと考えていましたが、今回は長くなってしまったので、次回に詳しくまとめてみたいと思います。

 


◎まとめると

 

・数を理解していても「し」と「よん」や、「ご」と「いつつ」が同じ数だとわからない場合があります。


・子どもの様子を見ながら、言い換えたり、指でも示して見せるなどすると良いでしょう。

 

・「8日」や「6本」など、単位を付ける表現もややこしいので、次回紹介まとめてみます。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

  

 

 ★シリーズ次回記事はこちら↓★

kikyouken.hatenablog.com