雑巾しぼり選手権を開催してみる~ピカピカの一年生の教養㉟~
こんにちは
キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。
小学一年生の学校生活に必要な知識や技能を考える「ピカピカの一年生の教養」、
今回は「雑巾をしぼる」がテーマです。
入学式を間近に控え、このシリーズも第31回からは「入学後にすぐ使う知識」をテーマにしています。前回は「線をひく」作業についてポイントを考えました。
※前回の記事はこちら↓
今回のテーマである「雑巾をしぼる」という技能についは、学校生活のどのタイミングで使うようになるのかが、子どもによって異なります。
◎使い始める時期の個人差
入学してから最初に雑巾を使うのはいつか、雑巾をしぼる作業をすることになるのはいつかというのは、まず、その子が通う小学校によっても異なるでしょう。
入学直後は下校時間も早く、自分たちの教室の掃除を上級生のお兄さんお姉さんにお願いしている場合が少なくありません。その後自分たちで掃除するようになっても、雑巾をしぼるのは先生というクラスもあります。そういったケースでは「学校生活で雑巾をしぼる」という機会が発生するのは、かなり先になるということですね。
ただ、そのような学校でも「係の仕事で必要ならば自分でしぼる」という場合もあります。給食の準備に使う配膳台などを拭く仕事を、当番制で行うクラスもあれば、「学級の係」として1学期間くらい固定しておくクラスもあります。
「係」を固定している場合、その係の子どもだけが、早い段階で雑巾しぼりをすることになるわけです。
そういった係になるかどうかは、本人の関心の高さによるところも大きいでしょう。
これらのことをまとめると、「入学後すぐに雑巾をしぼる技能が必要になる」場合とそうでもない場合があり、「必要に迫られる場面でも、苦手意識が強い場合は回避のしようがあることも少なくない」というところでしょうか。
雑巾をしぼる機会が発生する可能性もありますし、「苦手だから避けようか」と考えてみるためにも、あらかじめ一度経験しておくと良いでしょう。
◎雑巾のしぼり方
私自身は中学生になるくらいまで、雑巾を横に持ってしぼっていました。
↑この絵の男の子のようなしぼり方です。
鉄棒の持ち方で「順手」と「逆手」という言い方がありますが、左右どちらの手も順手になるように持つ形ですね。
私だけでななく、「雑巾しぼり」と聞いて、このように横に持ってしぼる絵をイメージする子どもは、少なくないようです。
後述しますが、握力の弱いうちは横向きで持った方がやりやすく感じるというのも、ついつい横向きで持ってしまう一因かもしれません。
ただ、慣れれば正しい持ち方のほうが短時間でしっかりしぼれるので、最初に知識として覚えておくと良いでしょう。
正しい持ち方でしぼっている人の手元を見ると、雑巾の向きは縦方向で、鉄棒で言えば片方が順手で片方が逆手の状態で持ちます。野球のバットを持つ時の持ち方ですね。
(※例によって画力が不足しているため、いらすとやさんの「野球」の素材をイメージ図として利用させていただきます)
①自分の体に雑巾を引き寄せて
↓この持ち方をし、
②腕を体の前に押し出すようにしながら手首を返すと、雑巾がねじれて水がでてくるわけです。
③ここで一度片方の手を離して、持ちかえながら①の動作に戻ります。
両手で雑巾をしっかり握ったまま①の体制に戻ると、雑巾のねじれも元に戻ってしまい、再度②の動作を行っても先ほどと同じ程度までしかねじれません。
片手を離して、②で雑巾がねじれた状態をキープしつつ持ちかえることで、再度②の動作を行う時に、雑巾をさらにねじることができるのですね。
◎あくまでも「水分を抜く」のが目的
雑巾と言えば上のような長方形の布がイメージされますが、この雑巾をしぼる時、どちらの方向にたたむ(あるいは丸める)でしょうか。
手前からクルクルとまとめていくと「細くて長い形」になりますし、横方向にクルクルとまとめていくと「太くて短い形」になりますね。
太くて短くなるようにまとめ、前述の正しいしぼり方をすると、短時間で素早く水分をきることができます。ただ、子どもの小さい手でしぼろうとすると、太くて短い雑巾は持ちづらさを感じることがあるでしょう。
なんとなく握りやすい太さで持とうとすると、「細くて長い形」の方になります。そして、縦方向に持ってしぼるには長すぎるので、横向きに持ってしぼりたくなるのではないでしょうか。
私の同級生には、一番細長くなるであろう斜め方向(対角線の長さになる)に持って、ねじりハチマキのようにグルグルねじって水気をとっている子がいました。「力が弱いから、こうしないとしぼれない」とのことです。縦に持ってしぼるのに比べると非常に時間がかかりますが、上手く力が入れられないなら持ち方を変えるしかないのでしょうね。
無理に縦に持っても上手くしぼれずにビチャビチャのままで掃除するのではしかたがないので、横向きでしぼるしかないのかもしれません。
でも、場合によっては単純に「雑巾は横の方が長くなるように持つはず」という思い込みで持っているだけの子どももいるでしょう。
子どもの様子を見ながら、腕力や握力の面で問題がなさそうだと思えたタイミングで、効率の良い縦しぼりに移行すること考えていくと良いのではないでしょうか。
とにかく、雑巾しぼりの目的は「水分をきること」ですよね。
雑巾の持ち方やしぼり方を身につけるのも、そのためのものです。
練習の際には、正しい正しくないは一旦おいて、まずは「どれだけ水気がとれるか」にチャレンジすることをお勧めします。
「雑巾しぼり選手権」など、何か名前を付ければ、ゲーム感覚での練習も可能です。
例えば、タイマーを20~30秒程度に設定して、交代で一枚の雑巾を絞っていくという形式はどうでしょうか。
時間内に1滴でも水滴が落ちたら「クリア」、時間内に水滴を出せなかったら「脱落」として繰り返し、最後に水滴を出せた人が優勝です。
「どうやったら水滴がたくさん出るだろう」と考えることで「適切なしぼり方」にも興味を持つことができるでしょう。
そのゲームを繰り返し、「どんな風に水分をとるか」を理解したところで、今度は「時間内に最低限の水分をとる」練習をしておけば、学校生活でさらに役立てられます。
実際の掃除では「時間をかけてカラカラになるまでしぼる」のが良いしぼり方というわけではないですよね。
「30秒~1分くらいの時間を設定して子どもにしぼってもらい、その後大人が1~2回軽くしぼって水滴がでなければチャレンジ成功」というようなルールにしておけば、わかりやすいのではないでしょうか。
◎まとめると
・雑巾しぼりの技能は、入学直後には必要にならない場合もありますが、入学直後にいかす機会が出てくる場合もあります。
・どのくらいできるのか、苦手なのか得意なのかを知るためにも、一度チャレンジする機会を作ってみると良いでしょう。
・その際には正しいしぼり方を学ぶことも大切ですが、あくまでも「ビチャビチャにならないように水分をとる」ことが目的であることを知ることが重要です。
・現在の握力・腕力で正しいしぼり方が難しい場合は、今のしぼりやすさを優先するしかない場合もあります。正しいしぼり方は知識として覚えておき、子どもの様子を見ながら移行すれば良いのではないでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。