ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「数取団」もゲーム自体は教育的だった気がする~日曜日の雑談7~

 こんにちは、

ききょうけんのベル子です。

 

 長年教育関係の仕事をしていると「職業病だな」と思うような思考や行動を、自分がしていることに気づくことがあります。

 

 ショッピングモールの出入り口などで進路を譲り合う時などに、見知らぬ家族連れ相手でもつい職場と同じように愛想を振りまいてしまったり。

 テレビを見ていると、ついつい「これを上手く応用すれば子どもが食いつくかも…?」とか考えてしまったり。

 

 

 先月「ピカピカの一年生の教養」で「数え方」に関する記事をいくつか書きましたが、その記事を書いている間、昔のバラエティー番組で見かけた企画を思い出していました。

 

 それは「めちゃ×2イケてるッ!」という番組の「単位上等!爆走数取団」というコーナーです。

 タイトルが長いので、以下「数取団(かずとりだん)」と呼びます。

 

 

 かなり有名な番組だったのでご存知の方も多いかと思いますが、一時はかなりの高視聴率を誇ったバラエティ番組で、特に小中学生をはじめ若い世代に人気だったようです。

 ただ、人気番組である一方で物議を醸すことも多く、いわゆる「PTAを敵に回す」タイプの番組でもありました

 

 正直なところ私自身もこの番組のノリにはついていけず、普段はこの番組を視聴していませんでした。ただ、たまたまテレビをつけた時に見かけると「なんだか面白い着眼点だな」と感じることが何度かありました。

 

 

 この数取団のコーナーも、「面白いゲームだな」と思った記憶があります。

 

 Wikipediaに紹介ページがあったので、今回この記事を書くにあたり読んでみました。

Wikipedia数取団のページ→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%98%E4%BD%8D%E4%B8%8A%E7%AD%89!%E7%88%86%E8%B5%B0%E6%95%B0%E5%8F%96%E5%9B%A3

 

 なんとなくタイトルからも想像できる部分があるかと思いますが、出演者の芸能人たちはバイクに乗ったヤンキーに扮してグルグル回りながら「単位」に関するゲームで勝負をします。

 

 ゲームは「せーの、ブンブンブブブン」の掛け声から始まり、その後は終始「ブンブン」というリズムに乗って進行します。

 この「ブンブン」はバイクのエンジン音を表しているのだと思いますが、全部ゲームの参加者が口で言っているものです。

 

ルールは、

 

最初の人がお題となる「ものの名前(なんでも良い)」を言う

次の番の人が、お題に合った単位で数を言う(「1匹」「1台」など)

数と単位を言った人は、次のお題となる「ものの名前(前と同じでも良い)」を言う

その次の番の人が、新しいお題の単位で一つ多い数を言う(「2枚」「2回」など)

言い終わったら、次のお題となる「ものの名前(既出のものでも良い」を言う

さらに次の番の人が、そのお題の単位で一つ多い数を言う(「3足」「3杯」など)

 

…と、これを繰り返していき、リズムに乗れなかったり、数や数え方を間違えたりしたら「アウト」です。

 

 ここまでは「服装がヤンキー風」というだけで、どちらかと言えば知的なくらいの内容ですが、そこは日本PTA全国協議会の「子どもに見せたくない番組」アンケートでよく名前をあげられていた番組なだけあって「敗者が決まる=終了」とはなりません。

「アウト」になった人間は罰ゲームとして、数取団のライバルという設定の「関取団」のメンバーと相撲をとることになります。相手は本物の「元力士」なので勝てるはずもなく、一方的に痛い目にうところを他のメンバーが笑うというわけです。

 

 私個人としては、「単純にゲームでキャッキャッと言っていれば楽しいのに」と思ってしまうのですが、番組の制作側としては「罰ゲーム無し」は考えられないようで、このコーナーと似た別のコーナーでも、必ず何かしらの罰ゲームがありました。

 

 Wikipediaによれば、この企画の前身となるコーナーは「アウトになった出演者を他の出演者が袋叩きにする」という罰ゲームを実施していたことで、「放送と青少年に関する委員会」から「暴力やいじめを肯定しているとのメッセージを子どもたちに伝える結果につながると判断せざるを得ない」とされ、打ち切りになったそうです。そして、かわりに始まったこの「数取団」もメインの出演者の一人が不祥事を起こしたことで企画打ち切りになったとか。

 

 細かい経緯は知りませんでしたが、なんとなくダークなイメージだけは持っていたため、このゲーム自体は面白いなと思っていても、立場上子どもたちに率先して勧めることは憚られました。

 うーん、罰ゲームの要素さえなければ、むしろためになるコーナーだった気がするのに。バラエティ番組を見ていると、こういう「ゲーム自体は面白そうだけど、その周辺の要素で子どもに紹介しづらい」という企画を見かけることは少なくありません。

 むしろ、「『ためになるゲームコーナー』なんてつくるもんか」というこだわりを感じることもしばしば。

 

 業界によって価値観が異なるというところでしょうか。

 彼らは彼らで「物議を醸す要素を足さずにはいられない」という職業病なのかもしれませんね。

 

 でも、どうにか「教育コンテンツ」っぽくできないかなぁ、と今でも考えずにはいられないのも、私の「職業病」です。

 このゲームを、今からでも上手くいかせないかしら。やっぱり駄目かしら。

 そんなことをされたら、番組制作者にとっては不本意なのかも?

 この自分の中の問答はまだまだ続きそうです。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 

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