かけ算の式で表そう(前編)~数式と日本語⑤~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。
今回のテーマは「日本語表現をかけ算の式に書きかえる」です。
先々週に「日本語表現を足し算・引き算の式に書きかえる」をテーマに、足し算・引き算と結びつく表現の代表的なものを紹介しました。今回はそのかけ算版です。
※足し算・引き算の記事はこちら↓(前後編です)
◎足し算・引き算との違い
足し算・引き算の基本の形を振り返った時、たいていの場合使われている単位は1種類ですが、かけ算の場合は2種類の単位が同時に出てくることが多くなります。仮に、同時に登場する単位の一方を「単位A」、もう一方を「単位B」とすると
1(単位A)50(単位B)の品物3(単位A)で150(単位B)です。
↓
50×3=150
という形式で頻繁に登場します。
1個50円の品物3個で150円
とか
1枚50gの品物3枚で150gというように。
また、割合や倍率は式で表すとかけ算になりますが、日本語の字面としては「〇〇の✕✕は△△です」というように、非常にシンプルになっている場合があります。
例えば
100円の3割は30円です(100×0.3=30)
100の2倍の数は200です(100×2=200)
1000人の1/4は250人です(1000×1/4=250)
というように。
足し算・引き算の文章題の授業で「『全部で』があったら足し算」とか「『違いは』があったら引き算」といった説明を聞いた記憶のある人は少なくないでしょう。それに対して上記のかけ算では、字面ではなく「割合や倍率を語っている」という実際の意味をくみ取って判断することが求められます。「倍」や「割」などは表現で覚えることができますが、「8の1/2は4(8×1/2=4)」にいたっては数と助詞しかでてきませんね。
かけ算に関わる表現にはこうした難しさがありますが、その一方で足し算引き算よりもわかりやすい点もあります。足し算や引き算に比べて「変化」を含む内容が少ないのです。
例えばよく見かける足し算の文章題で
「鳥が3羽いました。あとから5羽飛んできました。鳥は何羽になりましたか」
といった問題がありますよね。
この問題では「5羽の鳥が飛んでくる前」と「飛んできた後」という2つの状況を理解しなくてはなりません。それに対してかけ算でよく見かける
「一つ20円のアメを3つ買ったらいくらになりますか」
というのは、時間経過による変化がなく、単純に一つの事柄について話をしています。
これはあくまでも「そういう傾向がある」というだけで、足し算・引き算でも一つの事柄のみに言及している場合もありますし、かけ算でも変化を表す場合はありますが、このような傾向から皆さんの身のまわりでも「かけ算(特に九九)の方が、足し算引き算(特に引き算)よりもイメージしやすい」という子を見かけたことはあるのではないでしょうか。かけ算は、足し算・引き算に比べて難しいばかりでもありません。
◎かけ算に書きかえる表現
既に前半の内容で紹介してしまったものもありますが、まとめて書いていきます。
①かける(〇倍する)
10に2をかけると20になります
↓
10×2=20
②2種類の単位の使用(〇つ分)
1冊50円のノート3冊(分)の値段は150円です。
↓
50×3=150
③〇倍、〇分の1
10の2分の1(倍)は5です
↓
10×1/2=5
④割合(〇割、〇%など)
20人の8割は16人です
↓
20×0.8=16
⑤積
8と5の積は40です
↓
8×5=40
◎後編に続きます
今回はかけ算の立式について、特徴や代表的な表現について紹介しました。
次回は後編として、練習問題をもとに個々の表現をもう少し詳しく掘り下げます。
(※次回は通常より1日遅れて、3月18日更新予定です。)
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。