ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

フツウって何だろう~Eテレ「u&i」を視聴~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略してききょうけんです。

 

 

 このブログでは現在、水曜日か木曜日のどちらかに単発記事や小ネタの記事を書いていく予定にしているのですが、5月は「NHK for School」の番組について、実際に見て感じたことなどを書いてきました。 

 

  今回紹介する番組は「u&i」です。

 

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◎番組概要

 

「u&i」

 

(小学生対象 水曜日9:00~9:10

 

※以下、番組ホームページより一部抜粋。

 

『u&i』は、身体障害や発達障害のある子どもや外国人の子どもなどマイノリティーの特性を知り、理解を深める番組です。

 メインパートは人間と妖精の対話劇。

 主人公は、どこにでもいる“ふつう”の子。

 毎回、発達障害などの特性を持つ友達との間に悩みを抱えた主人公は、不思議な世界に迷い込みます。そこで妖精とともにマイノリティーの友達の悩みに耳を傾け、その特性を知ることで、多様性を尊重できる力や思いやりの心を育みます。

 2020 年に向けて、共生社会の実現を目指す「オリンピック・パラリンピック教育」の内容も盛り込んでいます。

 

以上、番組ホームページの紹介文の一部を引用させていただきました。

 

 ここからは、実際に見て感じた「気になるポイント」等を書いていきます。

 

 

◎他者を知る

 

「優しさ」や「思いやり」を語る時に頻繁に出てくる理論として「自分がされて嫌なことは、他人にもしない」「自分が言われて嫌なことは、他人にも言わない」というものがありますよね。

 でも、この言葉が常に正しいかと考えると、実際のところどうでしょうか。

 

 

 確かに、「自分がされて嫌なこと」は、とりあえず他人にもしないでおいた方が無難かもしれません。でも「自分がされても嫌じゃないこと」なら何をしても大丈夫とはいえないでしょう。

  

 子どもの頃の私は「少し変わっている子」だったと思います。周囲もなんとなくそう感じていたでしょうし、私自身にもその自覚がありました。感覚が周囲と違うので、「自分は嫌じゃないけど、みんなは嫌なのね」と感じたこともたくさんあります。そのため、思いやりについて考えるとき「自分が相手の立場だったらどうしてほしいのか」を想像することには、あまり意味がないと思っていました。

 

 もしも小・中学生時代の自分が「自分がされて嫌なことはしない」という一般的な教えをそのまま受け止めて、「自分がされて嫌じゃないことは、相手にもやって大丈夫だろう」というつもりで行動していたら、相当なトラブルメーカーになっていたと思います。もちろん人間が集まればそれ相応にトラブルが発生するもので、私が何も問題を起こさなかったかといえばそうではありません。でも、特別「トラブルばかり起こす子」にならずに済んだのは「相手が喜ぶどうか・嫌がるかどうかは、相手基準で考えるしかない」と考えていたからだと思います。

 

 

  この番組では毎回、「ココロのでんわ」というアイテムがでてきます。

「あの子はどうしてあんな行動をとったのかな」「あの子はどうして欲しかったんだろう」そんなことをモヤモヤと考えている子の前に妖精が現れ、相手のココロに電話をかけてみるように促すのです。

 あくまでも「ココロ」と話す電話であって「相手の本音」を聞ける電話とは少し異なり、おそらく相手も自覚していないであろう事実も客観的に説明してくれます。

 

 自分は全く気にならない光を極端にまぶしく感じる子もいるし、自分が当たり前のようにやっている動作を困難に感じる子もいる、

自分と他人とは感じ方が違うんだ、自分が当たり前だと感じていることも『フツウ』だと感じない子がいるんだ、

そういった視点を持つことに重点をおいた番組のようです。

 

 

 

 ◎自分を知る

 

 その一方で、全ての回を見ていくうちに「これって自分と同じだ!」と感じることもあるかもしれません。

「そうか、自分では『フツウ』だと思っていたけれど、大抵の子にとっては『フツウ』じゃないんだ」ということを初めて知る機会になる子もいるでしょう。

 

 前述の通り「ココロの電話」では、本人も自覚していないような事実や感覚も客観的に解説されます。

 「他者を理解する」ということだけでなく「自分自身を知る」ことのきっかけになることもあるのではないかと思います。

 

 基本的にこの番組で取り上げられているケースは、その時点で「何か困っている」状況で紹介されるのですが、今は困っていなくても似たような感覚を持っている視聴者もいるでしょう。そういった子どもたちがこの番組で「他の子にとっては当たり前じゃないんだ」「理解してもらいたいときは、しっかり伝えなくてはいけないのかもしれない」「こんなふうに説明すれば良いのか」と心にとめておけるなら、今後の生活のどこかで役立てられるだろうと思います。

 

 

◎その他の感想

 

 毎回「ユウ」と「アイ」というキャラクターが出てくるものの、それぞれのキャラクターの設定は回ごとに異なります。「ユウ」が男の子の時もあれば女の子の時もありますし、「アイがもうすぐ転校する」という話をしている次の回で「転校してきたユウ」の話になったりもするのです。

 

 また、初回では「ユウ君はどうして授業中にソワソワ動くんだろう」という疑問に対する答えとして「光に対して過敏すぎて、それを頑張って我慢しているうちについつい体が動いてしまう」というような説明が出てくるのですが、これは「このユウ君」がそうだというだけで全ての「ソワソワ動く子ども」の理由とはいえません。ユウ君からの答えを聞いた後に、妖精から「他にもこういう子がいるよ」という補足説明が入るのですが、まだ理解力なり読解力なりが不十分な子だと、その場は「そうかソワソワしている子はまぶしがりなんだ」としか受け取れない可能性もあります。もちろん番組を見ておくこと自体は有意義だと思いますが、本当の意味での理解に達するまでには、番組を視聴した後に少し時間が必要かもしれません。

 

 小学校の全学年を対象にしているようですが、どちらかといえば、ある程度理解力のついてきた高学年の子どもの方が、得るものが大きいかもしれないと感じました。

 

 

 

 今回は「u&i」を紹介しました。

 この番組もこれまで紹介した番組と同様に、Eテレのウェブサイトで視聴することができますので、興味のある回だけ見ることもできます。テレビでは放送されない2分アニメのコーナーもありますので、気になるテーマがあったらチェックしてみてください。

 

「ばんぐみ(NHK for School)」ページリンク 

→ https://www.nhk.or.jp/school/program/

(データの通信量にはご注意ください)

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。