ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

Eテレ「歴史にドキリ」を視聴~見どころやポイントは~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略してききょうけんです。

 

 このブログでは現在、水曜日か木曜日のどちらかに単発記事や小ネタの記事を書いていく予定にしているのですが、5月は主に「NHK for School」の番組について、実際に見て感じたことなどを書いていきたいと思います。 

 

  

 今回紹介する番組は「歴史にドキリ」です。

  

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◎番組概要

 

「歴史にドキリ」

 

(小6対象 水曜9:40~9:50

 

 

~概要(以下、番組ホームページより抜粋)~

 

 歌舞伎俳優の中村獅童さんが歴史上の人物にふんし、ドキリとする歴史学習へいざないます。番組では、学習指導要領に掲載されている歴史上の人物たちを中心に紹介。それぞれの人物がどんな時代を生き、どんな働きをしてきたのか。その人物の目線に立って追体験。そして、現代にどんな影響を及ぼしているのかなど、授業での学習ポイントを押さえながら人物を深く掘り下げます。「ドキリ★ソング」は、歴史上の出来事を“ノリノリ”の歌と踊りで表現!一緒に歌って踊って、楽しく、アクティブに学んでみてください。 

 

 

 以上、番組ページより引用しました。

 

 ここからは、実際に見て感じた「気になるポイント」等を書いていきます。

 

 

 

◎わかりやすく絞り込まれたポイント

 

 小学校の歴史の学習では紀元前数百年の頃から2010年代までを扱いますが、何百年・何千年という時間の中の出来事を学ぶのですから、当然これまでに起こった全ての出来事を把握することなどできません。大まかな流れやポイントをつかむことが重要になります。

 

 教科書では既に、重要な事項のみを絞り込んで掲載しているわけですが、それでも相当な情報量が羅列されている状態です。古くから「歴史をひもとく」なんて表現がありますが、いざ学習するとなると、どこからどう「ひもといて」いけばよいものか難しいところです。

 

 番組では原則として、各回ごとに一人または二人の歴史上人物を選び、その人物について説明すると同時に時代背景や関係のある人物を紹介していきます。

「特定の人物に焦点をあてる」とはっきり明示されていることで、考えるべきこと、覚えるべきことがわかりやすくなっています。そのうえで周辺の情報についても丁寧に解説されているので、内容は決して薄過ぎることはありません。また、重要な事項は「ドキリポイント」として強調して編集されるなど、見た後に「結局何の話だったんだっけ」ということにならないよう配慮されています。

 

 学習の導入としても使いやすいと思いますが、一通り歴史を学んだ後に復習として視聴すると学習内容が整理できるので、中学生や高校生が歴史を再度学ぶ際に一度見返す教材として利用するのにも役立つのではないでしょうか。

 

 

 ◎視覚的・聴覚的なインパクトがすごい

 

 もしもこの番組を「ちょっと見てみようかな」と思ったなら、初回だけではなく他の回を1回分は必ず見ることを、私はお勧めしたいと思います。

 というのも、初回とそれ以外の回で、かなり雰囲気が異なっているのです。

 

 

 初回は歴史の学習の導入ということで、「歴史とは何なのか」「歴史について考えるというのはどういうことなのか」ということが語られつつ、縄文時代弥生時代について、非常に真面目に教科書的な解説が流れていきます。

 

 

 ところが第2回になると冒頭からガラッと雰囲気が変わります。「歴史研究所」のソファーに、卑弥呼に扮した(「扮した」というより「コスプレ」という表現の方が近いような)中村獅童さんが腰をかけて、雑誌を読みながら「ラッキーカラー云々」と独り言をつぶやくところから始まるのです。

 その後、ナレーションによる真面目な解説動画が流れます。内容がスッキリまとまっているだけでなく、資料写真やイメージ画像を織り交ぜながら解説されるので、教科書を読むよりもわかりやすいと思います。

 

 解説は教科書的ですが、その間に挿入される「歴史ソング」のコーナーは非常に個性的です。歴史上の人物(第2回は卑弥呼)に扮した中村獅童さんと他数名のダンサーが、ヒャダインさんプロデュースの歴史ソングを歌って踊ります。

 

 冒頭の「ラッキーカラー」もそうですが、歌やダンスも当時卑弥呼が躍るはずのない西洋的なものです。でも、歌詞の内容は歴史解説になっていますし音楽のノリも良いので、何となく見ているうちにきっと頭や耳に残ることでしょう。テストの時など大事な時に思い出しそうです。教科書にも写真や絵はたくさんのっていますが、やはり実写の人間がその時代の格好をして音楽にのせて訴えてくるというのは、その時代のイメージを強く残してくれるものではないでしょうか。

 

 

 

◎その他の感想

 

 前述のとおり、番組導入の寸劇やダンスでは「時代考証」を堂々と無視していたりもしますが、後の解説部分では歴史の教科書で学ぶ内容が簡潔にまとめられていたりと、教育的要素を満たしつつ娯楽的な要素も大切にしている番組のようです。

 

 ある程度歴史に対して知識があれば全く問題ありませんが、「携帯電話が無かった時代」すら実際には知らない子どもたちが初めて歴史を習うにあたり、歴史の教育番組で「雑誌を読む卑弥呼」や「ネットオークションで刀を売る元武士」の姿と「真面目な解説動画」を同時に見せられて、「ここは嘘」と「これは本当」としっかり判断できるのかどうかというのは少し心配です。

 

 

 一応は、番組の冒頭で「中村獅童が演じているのは『歴史上の人物その人』ではなく、『歴史を理解するために歴史上の偉人に変身した現代人』である」と解釈できるような説明がされてはいるのですが。

 

 

 Eテレではあまり見かけませんが、ビートたけしさんは情報バラエティに出る時に、そのテーマに合った被り物をつけたりするイメージがあります。その延長で、「歴史の授業をする時に、その時代ごとのコスプレをして授業をする先生がいたら、子どももその時代についてイメージしやすく印象に残りやすいかも」と思ったことは私にもありました。(自分で実際にやろうと思ったことはありませんが)

 

 そんな思い出もあり、この番組のコンセプトはとても面白いと思ったのですが、個人的な希望としては、「中村獅童がしているのは『歴史上人物ごっこ』で、言動は史実とは異なります。」とはっきりわかるようにしていただけたら良かったなと思いました。

 

 実際のところ大抵の子どもは心配ないと思うのですが「虚実の判断がつきにくいかも」と心配な子どもには、「VTRの中で間違い探しをしよう」とクイズ形式にしてしまうなど、大人が少しフォローを入れた方が良いかもしれません。

 

 

 今日は「歴史にドキリ」を紹介させていただきました。

 

 

 テレビでは今週第6回が放送されたようですが、WEB上では既に1年分の全ての回を視聴可能ですから、興味を持った人物の回を選んで見ることも可能です。

 

「ばんぐみ(NHK for School)」ページリンク 

→ https://www.nhk.or.jp/school/program/

(データの通信量にはご注意ください)

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。