ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

イベントのついでに現状把握~ピカピカの一年生の教養㊵~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。

 

 このブログでは現在、小学校一年生の学校生活に必要な知識や技能について考える「ピカピカの一年生の教養」の記事を、毎週月曜日に更新しています。

 

 今回はどちらかというと、子どもと接する大人向けの話になりますが、「入学して間もない子どもの心理状態を把握する」というのがテーマです。

 

 

◎やっぱり気になる「学校での様子」

 

 小学校生活が始まってから数週間が経ち、4月中の学校生活を子どもたちはどうとらえているのか、気になるところですよね。

 

学校は楽しい?

どんなことが楽しみ?

勉強は上手くいっている?

友達と仲良くなれた?

嫌なことはある?

どんなことが心配?

 

 もちろん周囲の大人たちは、日ごろから子どもと接する中で、気を付けて様子を見たりこまめに声をかけたりしていると思います。

 

 でも、やはり大人からは見えない、大人が気づかないものはあるでしょう。

 

 それぞれの子どもに、その子の世界がありますから、子どもの状態を全て把握できないことが一概に悪いこととは思えません。

 とはいえ、何か大きな悩みや大きなトラブルが生まれていないかというのは、気になるところです。

 

 そこで、この連休中のイベントを利用して、普段は見えない子どもの心のうちを知るチャンスをつくってみるのはいかがでしょうか。

  

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◎「普段会わない人」に協力してもらう

 

 社会生活を送っているたいていの人は、接する相手によって態度や発言内容を変えるものです。

 別に猫をかぶっているとかそういうことではなくても、「親しい相手には言うけれど他人には言わない」という事柄はいくらでもありますよね。それは、マナーとしてそう判断することもあるでしょうし、「これまでの会話の積み重ねによる予備知識がない人に話しても、理解できないだろう」という認識によることもあるでしょう。

 また、反対に「自分と利害関係のない他人になら話せるけれど、親しい人間には言えない」なんていうこともありますね。

 

 この「相手によっていろんな顔を使い分ける」というのは、大人に限ったことではなく、子どもでも大なり小なりやっていることでしょう。

 

 それはつまり、子どもが「自分にとって身近な人間」に普段見せる顔とは別の顔を、「自分にとってあまり身近でない人」には見せる可能性があるということです。

 

 他人と話している子どもの姿から、その子が普段身近な人には見せていない本音が、思わぬ形で見えてくるかもしれません。

 

 今回の連休中に、普段会わない人と子どもが会う機会はありませんか。同居していない祖父母や親せきのおじさん・おばさんだとか、幼稚園・保育園で仲が良かったけれど小学校が別になってしまったお友達だとか。

 

 そういった人に会った時に、子どもが学校について、自分の言葉で話す機会を作るようにしてみましょう。

 

 

◎言葉がけの例

 

 子どもに学校のことを話をさせる相手が、祖父母やママ友のように親と親しい人であれば、あらかじめ「『新しい学校はどう?』と聞いてみて」と頼んでしまう方法もありますが、そうではない人でも「この子は一年生です。4月に小学校に入学したばかりなんですよ。」などと話をふられれば、そこから子どもに声をかけてくれる人はいるでしょう。

 

 

 どんな形であれ、子どもが自分の言葉で学校について話すのであれば、もちろんそれぞれに意味がありますが、お勧めの聞き方は

 

「クラスにはどんな子がいるの?」

「担任の先生はどんな人?」

「どんな勉強をしているの?」

「休み時間はどんなことをしているの?」

「給食(お弁当)はもう食べているの?」

 

といった質問を、まずしてみることです。

 

 

「どんな」というのは、いろいろな答え方が考えられるため、答えるのが難しい聞き方ではあります。ただ、それだけに子どもがどんなことに関心を持っているのか見えやすい質問であるでしょう。

 

「お友達はできた?」と聞いてしまうと「『友達と仲良くできている』と答えるのが正解なのだろう」と子ども心に察してしまって「隣の席の子と気が合わない」といった答えが出てきづらくなります。「どんな子がいるの?」という質問だと、ポジティブに答えるかネガティブに答えるかを、子ども次第で決められます。ポジティブでもネガティブでもなく「すごく背の高い子がいた」というような答えが返ってくるかもしれません。その答えの方向性で、クラスの中で楽しく過ごせているのか、不安を感じているのかが垣間見えることもあるのです。

 

 

 ただ、このような「どんな」を答える聞き方だと答えられないという子どももいるでしょう。「はい」「いいえ」で答えられる質問や、狭い範囲の中から答えを選ぶような質問でないと返答に困ってしまうことも考えられます。

 先ほど紹介したような質問をしてみて、子どもが返答できないようなら、

 

「1クラス何人なの?」

「隣の席の子はなんていう名前?」

「隣の席の子はどんな子?」

「校庭にはどんな遊具があるの?」

「どんな遊具で遊んでいるの?」

「雨の日の休み時間は何をしているの?」

「どの教科が楽しい?」

「どの教科が大変?」

「教室は広い?」

「先生の声は大きい?」

「給食でおかわりしたことはある?」

「残しちゃう子はいないの?」

 

 といった質問を子どもの受け答えに応じて投げかけていくと、その反応で見えてくるものがあると思います。

 

 

◎話を聞く時の注意点

 

 子どもの話を聞くうえで一つ注意しておきたいのは、

 

言葉=子どもの気持ち

 

とは、必ずしもいえないということです。

 

「クラスに困った子がいるんだよ」という話をしたからといって、子どもがそのクラスメートのことで悩んでいるとは限りません。単純に「話のネタとして面白い」と思って話しているだけかもしれません。

 

 ただ、質問に対しての子どもの受け答えは、答えの内容にしろ「答えたがらない」といった態度にしろ、何らかの内面を反映していることは間違いありません。

 

 例えば、「クラスにどんな子がいるの?」という質問に対して、「〇〇ちゃんは、いつもかわいい服を着ている」という答えが最初に出てくる子は服装にこだわりを持っているのでしょうし、「〇〇君はすごく頭が良い」と答える子は「学校ではしっかり勉強して褒められたい」という意識が高いのかもしれませんし、これまでの自分の経験の中で「大人の最大の関心事は子どもの成績なんだろう」と感じてきたのかもしれません。

 同じ休み時間でも「〇〇ちゃんと遊ぶ」と答える子もいれば、「〇〇で遊ぶ」と答える子もいます。

 

 こうした答えの一つひとつについて、それぞれは

「こう答える子は学校生活が上手くいっている」

「こう答える子は問題を抱えている」

と言えるものではありません。

 

 どれが好ましい答えで、どれが好ましくない答えというわけでもありません。

 

 でも、そういった情報を積み重ねることで、子どもが学校生活において何に重きを置いているのか、子どもが学校をどうとらえているのか、現状が見えてくるのも事実です。

 一番大切なことは、子どもの答えを聞いたり子どもの反応を見たりした大人の側が、今まで持っていなかった視点で子どもを見守れるようになるかもしれないということです。

 

 今後のためのヒントを得る場として、普段は見えない子どもの一面を見るチャンスを、是非生かしてみてください。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。