ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

日常会話のタイプ別「感想の膨らませ方」(補足)~今日から始める読書感想文⑦~

 こんにちは、ベル子です。

 

「今日から始める読書感想文」7回目です。夏休みに困らないよう、今からできることを考えていきましょう。

 

 第4回から第6回までの3回では、読書感想文の3つの要素「読書をする」「自分の感想を持つ」「文にまとめる」の2つ目の要素「自分の感想を持つ」について、日常的に話しているテレビなどの感想を膨らませる方法を考えていきました。

 (※前回の記事はこちら↓)

kikyouken.hatenablog.com

 


 でも、そもそも自分の感じたことや考えたことを、日常的にあまり表に出さない子もいますよね。


 そこで、今回は「そもそも普段からあまり話さない」タイプの子について、感想の膨らませ方を考えていきたいと思います。

 

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◎あいまいな質問に答える難しさ

 

 読書感想文といえば、「本を読んで、どう思った?」ということを書き出していくものです。

 

 でもこのような「どう思う?」という形式の質問は、答えるのが難しい聞き方です。

 

 何について、どんな風に答えたら良いか明示されていないため、途方に暮れてしまうのです。

 

 

 また、一見答え方が限定されていないので自由に答えられそうにも思えますが、現実には求められている答えの範囲は限られています。

 以前の回に出てきましたが、感想文で「本を読んでどう思った?書いてみて」と言われて「重くて手が疲れた」などと書いたら、おそらくは「そういう感想じゃない」と書き直さなくてはならなくなるでしょう。

 

「どんなことについて感想を書くべきなのか」とはっきり明示されていないけれど、実際には課題を出す大人側は「こういう感想を書くべき」と求めてしまっているものです。

 

 

「どんな感想を求められているのか?」を理解できるかどうかは、やはり読解力と大きく関わってくると考えられます。

 

 例えばその本のテーマが「優しさ」で、柱となるストーリーが「人に親切にすることは良いことだけれども、時には相手にとって迷惑になることもある」という内容だとします。

 

 それを読み取れていれば、「この本について、どう思った?」と聞かれたときに「優しさについてどう思うか答えれば良いのだな」と判断できるでしょう。

 もちろんそれ以外の感想を語ることが必ずしも悪いとは言い切れませんが、押さえておけば確実なポイントというのがわかりますので、考えやすいのです。

 

 

 あいまいな質問に対応できるようにするためには、本に関する読解力や質問に対する理解力の強化が必要ということになりますが、読書感想文の対策としては、反対に「大人の側が曖昧でない質問をなげかけるようにする」という方法があります。

 

 感想文を書く場合で考えるなら、例えば主人公の一つの決断が重要なテーマになっている本を選び、「この決断に賛成か、反対か」を書くよう声をかければ良いわけです。

 

 もう少し選択肢を複雑にしても考えられそうなら「どの登場人物に共感するか」をテーマにできそうな本は探すといろいろあります。(後日別の記事で、こうした本の紹介もしていきたいと思います。)

 

「自分だったらどうするか」とか「誰の考えに賛同するか」という書き方は、読書感想文の形式として珍しくないですから、選択肢の中から自分が良いと思うものを選び、その理由を答えることができれば一本の作文を書くことができます。

 

 

◎まずは簡単な2択から

 

 日常生活の中では、まず、どんなことでも良いので自分で判断して答える練習をしてみましょう。

 


 最初に、簡単な2択の質問に答える機会を、日常の中で多く設けるよう意識します。

 

 答えはどちらが正しくてどちらが間違いというものではなく、自分がどう思うかを答えられれば良いというような質問が良いでしょう。

 

 例えば「今日のおやつは甘いものとしょっぱいものどちらが食べたい?」とか「今日着るシャツはこれとこれどちらが良い?」といった質問をして、本人に選ばせてみるのです。

 

 練習をしていくうちに、「この中でどれが良い?」というように少し選択肢が増えても選べるようになります。

 

 

 少し慣れてきたら、「今どちらを選びたい気分か」だけではなく、「自分はどちらが良いと思うか、どちらが好きか」を一緒に考える時間をつくってみましょう。

 

「好きなものは先に食べるタイプか後に食べるタイプか」とか、「アナログ時計とデジタル時計のどちらが見やすいか」などちょっとしたことで良いのです。

 

 インターネットで「あなたはどっち派」などの言葉を検索すると、いろいろなテーマが出てきますので、ネタには困らないと思います。

 

 ここでは、質問する大人の方も積極的に「私は○○の方が良い」と自分の意見を言うようにしましょう。そして「だって××だから」と理由を聞かせ、子どもにも理由を話すように促します。

 

 

◎対比させて話す。


「自分は○○だと思う、なぜなら××だから」という形式でも、作文として成立しますが、応用編として「対比させて話す」ことを覚えると、書き方のバリエーションが広がります。

 

 

 例えば、時期を対比させて話す方法です。

 

「僕は前は○○の方が良いと思っていた。××だから。でも今は△△になったので、□□の方が良いと思っている。」という形です。

 

 これは感想文でも、「以前は○○だと思っていたけれど、この本を読んで××だと思うようになりました」という形式として使えます。

 

 

 また、人を対比して話す方法もあります。

 

「友達は○○の方が好きだといっていたけど、私は××の方が好き。きっと、友達は△△だけど、私は□□だからだと思う。」という形です。

 

 これも感想文では、「○○は××だと言っていましたが、私は△△だと思います。なぜなら□□だからです。」という形式として使えます。

 


◎まとめると

 

 ・普段自分の思いや意見をあまり話さないタイプの子どもには、日常的に

 「どちらが良い?」というような2択の質問を投げかけるようにしてみましょう。

 

 ・2択に慣れてきたら、「この中でどれが良い?」と選択肢を増やしたり、

 「どうしてそれを選んだのか」理由を話すよう促したりします。

 

 ・まずは、大人が「私は○○が良い。だって××だから。」と話す見本を見せる

 ことも必要です。

 


 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 ★シリーズ次回記事はこちら↓★

kikyouken.hatenablog.com