ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

失敗から学ぶ~休校中の自習(全科編⑩)~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 ここ2ヶ月ほど「休校中の自習」をテーマにあれこれ書いてきましたが、今回で一区切りです。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 今回はまとめとして、これまでの9回を振り返りつつ、「独りで学ぶ」ために何が必要かを考えていきたいと思います。なお、今回のシリーズでは「ノートを使った学習」を主に想定しています。

 

※過去9回の、初回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 

 

①「書く」ことへの慣れ

 

「ノートを使った学習」を円滑にするためには、まず最初に「筆記用具で字などを書く(時には描く)」ということに対して、ある程度慣れている必要があります。仮に、文字を数十個書くだけで疲れてしまうくらい書くことが苦手な状況で、ノートを書きながら学習をしていたら、とても内容など頭に入らないでしょう。

 もちろん、ノートを使い続けることで「慣れる」ものではあるのですが、子どもによっては、「書く」とか「書き写す」といったことが極端に苦手な場合があります。

 その際は、そもそも無理にノートを使おうとはせずに、書く負担の少ないワークシート式のドリルを使用したり、場合によっては動画で学んだりすることを考えた方が良いでしょう。

 

 

②内容の理解

 

 ノート学習に限ったことではありませんが、手を動かして鉛筆で何か書きながら学習をしていると「内容を理解できなくても、一生懸命書くことで学習した気になる」ということが起こる時があります。参考書の内容やドリルの答えなど、丸写ししているだけで実際には身についていないということも少なくありません。

 ただ、子ども自身は「丸写し」かそうでないかを自覚できていなくても、書いたノートを大人の視点で見てみると、どの程度理解してうえで書いたのかはわかるものです。

 時々子どものノートを見返してみて、学習内容に対して子どもの理解力に不安がある場合は、課題を変えるなどの助言をすることをお勧めします。

 

※こちらの記事でも扱っています↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 

③要点の把握

 

 とはいえ、全部わかっている内容ばかり取り組んでいるわけにはいかないですね。「わからないことを学ぶ」「知らないことを知る」ための学習活動なので、現時点でわからないこと、知らないことも扱っていかなくてはなりません。でも、全てチンプンカンプンでは学びようがありませんね。

「独りで学ぶ」際に必要なこととして、「自分が今何を学んでいるのか」ということを把握する力が必要です。だた目の前の問題を解いていくのではなく「今日は〇〇をやって、だいたいわかった」とか「〇〇をたくさん間違えたから、後でもう一回やろう」とか「〇〇は難しすぎたから、これは誰かに教わらないと無理かな」とか、そうした判断ができるようになるためには、その都度今自分がやっている「〇〇」が何なのかを意識できている必要があるでしょう。これは「先生の話している内容がわかる」とか「参考書に書かれている内容がわかる」という一つ一つの内容への理解とは、また異なります。「今日の授業のテーマは何だったのか」とか「このページは何についての解説なのか」というように「テーマ」や「要点」を把握する力です。

  

※詳細は以下の2件の記事で書きました↓
kikyouken.hatenablog.com

  kikyouken.hatenablog.com

 

 自分で学習計画を立てられるようになるためには、まず1時間の学習なり1ぺージの学習なりという一区切りの学習の中で「今自分は何について学習しているのか」を自覚したうえで進められるようになる必要があります。

 上の記事で紹介したようなノートの使い方を試してみると、「その自覚ができているのか」を確かめることができるでしょう。また、この使い方で学習することで、「要点を把握する」力が身についていきます。一人で身につけるのが難しい場合は、周囲の人が「今日は〇〇を勉強したね」といった声かけをするのがお勧めです。

 

 

④「全体像」の把握

 

「今何を学習しているのか」を意識できるようになったら、今度はさらに、「今の学習内容が過去の学習内容やこれからの学習内容とどのようなつながりがあるのか」を意識するようにします。

 これは、単元など学習内容の話の流れというだけではありません。自分自身の学習の流れとして「これから学ぶ内容にざっと目を通して、どんな話なのかを把握する」段階なのか、「これまでに出てきた用語を完璧に覚える」段階なのか、ということも意識する必要があるのです。

 

↓こちらの2件の記事で、ノート学習でよく使われる筆記用具の特徴について紹介しましたが、

 

kikyouken.hatenablog.com

 

kikyouken.hatenablog.com

 

 

「全体の流れの中で、今の学習がどのような位置づけなのか」によって、適切なノートの使い方は変わります。今どういう状況で、どういう道具を使うべきかを考えることは、全体の流れを意識するきっかけになるでしょう。

 

 

⑤自分の思考や嗜好の把握

 

 どうせ学習するなら、楽しく、効率良くやりたいというのは当然の考えではないでしょうか。でも現実には、望んだとおりの有意義な学習活動を行うのは簡単ではありません。楽しく学びたい、効率良く学びたいと思うからこそ陥りやすい落とし穴もたくさんあります。

 

※「落とし穴」については、こちらの2件の記事で詳しく書きました↓

kikyouken.hatenablog.com

 

kikyouken.hatenablog.com

 

 どんな落とし穴に嵌るのかというのは、子どもの理解の度合いだけではなく、性格や好み、思考や行動パターンによる部分が大きいと思われます。

 良くも悪くも「一度やりはじめたら最後までやらないと気が済まない」子がいる一方で、「最初は張り切って初めても、根詰めて作業をしていると数十分で嫌になる」子もいます。これはどちらが良いとか悪いとか言い切ることができませんが、合う学習方法は異なるでしょう。例えばカラフルで綺麗に書くことにこだわり過ぎる人に対して「それは効率が悪い」とか「内容が頭に入っていかないだろう」という注意の言葉を時々聞きますが、その子がそういう書き方でないとやる気が起きないのなら、多少効率が悪くても開き直ってやり続けることも間違いではないでしょう。

 

 自分にとって良いノートの使い方を模索していると、自分の性格がよくわかってきます。上手くいっていない時は、自分自身を誤解していることが少なくありません。逆に言えば、自分の性格を把握してそれに合わせた学習をするように工夫すれば、楽しく効率良く勉強することが可能です。

 

 

◎最後に 

 

 このページを開いてくださった方は、きっと「良い学習方法を知りたい」とお考えのうえで開いてくださったのだと思います。そこで、いくつかヒントになりそうなことを書かせていただきました。

 でも、それぞれの子どもにとって適切な学習というのは、最終的には本人自身が探し出すしかありません。

 以前の記事でも書きましたが、人間どうしても「最短で最適な方法を探し出したい」と考えてしまいがちですが、いろいろ試行錯誤を繰り返し「自分の性格では、この方法は上手くいかないな」「自分はこう言う時にやる気が出るな」ということを発見することで、自分にとってより良い方法が見つかります。

 その発見は、子ども時代の学習だけでなく、大人になって日常生活を送るうえでも仕事をするうえでも役に立つことでしょう。実際のところ、学習内容を身につけることよりも、内容を身につけるために育った「学ぶスキル」の方が、将来的には価値のあるものではないでしょうか。

 子どもたちの学習する様子は、大人から見ていると「無駄なことをしている」「効率の悪いやり方」と思えることも多いかもしれません。周囲の大人が必要に応じて「〇〇だから効率が悪いかも」と事前に話したり、終わった後に「〇〇だから、こうした方が良かったかもね」と助言をしないと、なかなか良い方法に辿りつかないこともあります。でもそこで常に失敗の先回りをして「もっとこうした方が」と強く言ってしまうよりも、まず失敗すること前提で様子をみることが時には必要だと思っています。

 

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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