パターンで覚える接続詞(前編)~今日から始める読書感想文㉔~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。
現在は、読書感想文の「本を読む」「自分の感想を持つ」「文にまとめる」の3つのステップのうち、「文にまとめる」について掘り下げて考えているところです。前回は「接続語」がテーマでした。
※前回の記事はこちら↓
「文と文」「文節と文節」を結び付ける働きをする文節を「接続語」といいますが、その接続語には大きく分類すると
接続詞=接続語(「だから」「でも」など)
他の単語+接続助詞=接続語(「走り+ながら」「美しい+のに」など)
の2種類があるというのが、前回の内容でした。
その中で、主に「文節と文節」ではなく「文と文」を結び付ける接続語に使われるのは、接続詞と呼ばれる単語をそのまま接続語として使う「接続詞→接続語」の方のパターンです。
「今日から始める読書感想文」では、現在「複数の文を書き連ねる」ことについて考えていますので、今回からは、この「文と文」を結びつける役割を果たす「接続詞」について数回にわたって考えていきたいと思います。
◎読むと書くでは大違い
小・中学生向けのドリルでも、この接続詞の問題はよく出題されています。
でも、そういった問題でしっかり正答できるかどうかということと、作文で使いこなせるかどうかということは全く別問題です。
前々回までテーマになっていた指示語については「教科書に掲載されている内容を知識として覚えるのはそれほど難しくないのに対し、作文の中で使いこなすとなるとかなり難易度が高くなる」と書きました。そういった「実践するとなると難しい」知識はたくさんあるのですが、この接続詞については、状況が少し異なります。
ドリルなどで頻繁に出題されるパターンの問題で考えてみましょう。
問:以下の文の( )に、適切な接続詞を書きなさい。
①そのテストはとても難しい。( )、兄にとっては朝飯前だった。
②今日の給食は人気メニューのカレーだった。( )、僕は機嫌が良かった。
このようなタイプの問題を皆さんも見たことがあるでしょう。一から考えさせるのではなく、「だから」「しかし」「さらに」「なぜなら」等の選択肢の中から選ぶ場合もありますね。さらに選択肢が絞り込まれて「『だから』か『しかし』のどちらか合う方を選びなさい」なんていう場合もあります。
実際にこの①②については、一番最後の「だから」「しかし」の2択でも問題として成立します。そして、この二つの言葉を理解するのは難しくありません。
ただ「朝飯前」という言葉を知らなかったとしたらどうでしょう。
実際にこのようなパターンの問題で「朝飯前」のような言葉を使って出題される例はあまりないかもしれません。問題文として少し極端な語句を選んでいますが、あくまでも例えの話として考えていただければと思います。
①の文中のそれ以外の語句の意味はどれも身近な言葉なので、「朝飯前」以外は全て理解できているとするなら、
①そのテストはとても難しい。( )、兄にとっては▢▢▢だった。
というふうに見えているのと同じということですね、この状態で「しかし」か「だから」を判断するのは不可能ではないでしょうか。
それに対して、②の問題では特に難しい言葉はありませんね。ただ、仮に「きげん」を「機嫌」と書くということが分からない場合、
②今日の給食は人気メニューのカレーだった。( )、僕は▢▢が良かった。
という問題の答えを考えなくてはならないということになります。元々の正解は当然、
②今日の給食は人気メニューのカレーだった。だから、僕はきげんが良かった。
となりますが、▢▢の内容によっては、
②今日の給食は人気メニューのカレーだった。でも、僕はワンタンが良かった。
のように「でも」が正解になる可能性もないとは言えません。
つまり、ドリルやテストの中で「接続詞」の問題を正答できるかどうかというのは、接続詞に関する知識の有無に関わらない部分が大きいということです。
もちろん接続詞の知識は不可欠ではあるのですが、問題を解くために求められている知識量はさほど多くはなく、たいていの子どもがすぐに理解できる内容ではないでしょうか。
ところが、上記の例のように、語句や漢字に関する知識が不十分だと正しい答えを判断できなくなってしまいます。また、もう少し長文の問題になると、正答できるかどうかは文脈を判断する読解力にかかってくることになるのです。
そのため、接続詞に関して言えば、知識を問う問題に答えるよりも、実際の作文で使う方が簡単な場合もあると言えるでしょう。
◎作文で使いこなすには
語彙力や読解力について掘り下げて考えると現在の「文を書き連ねる」というテーマからずれてしまうので、ここでは、実際の作文で接続詞を使いこなす方法について考えていきます。
ただ、接続詞を使って文を書くことに慣れてくると、読解の場面でもその経験を生かして文脈を読みとることができるようになってくるので、全く無関係ということではありません。
作文で接続詞の練習を繰り返すことで、ドリルやテストで接続詞に関する問題を出題された際にも対応しやすくなるでしょう。
さて、自分の作文に使うだけであれば、たくさんの接続詞を正確に覚える必要はありません。自分にとってわかりやすいもの・使い勝手の良いものを覚えて、それだけを自分の作文に活用すれば良いのですね。いくつかのパターンを覚えるだけでも、書ける文章の幅はかなり広がります。
次回の「今日から始める読書感想文」では、わかりやすい・使い勝手の良い接続詞のパターンと練習方法を紹介します。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。