単文でスッキリ~今日から始める読書感想文⑱~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。
「今日から始める読書感想文」では、前回から、
「読書をする」「自分の感想を持つ」「文にまとめる」の3つ目「文にまとめる」のうち、
文をいくつか集めて段落を作ることがテーマになっています。
※前回の記事はこちら↓
前回は「段落とはどういうものか」を少し考えました。
文章全体をいくつかの意味のまとまりで分け、そのまとまりを「段落」と呼ぶのでしたね。一つの文で一段落の時もありますが、段落の多くは複数の文からなるものです。
今回は、一つの文で書ける程度の内容を、複数の短い文に分けて書くことを考えてみましょう。
◎一文を短くして考えるメリット
「一つの文を書く」テーマの際に紹介したように、工夫をすればかなりの情報量を一文の中に入れることができますが、それだけの情報を整理して一つの文にまとめるのはかなり難しいことでもあります。「文の中に入れようと思う言葉はあれこれ浮かぶけども、結局まとまらない」という事態にもなってしまうわけですね。
短くシンプルな文を書き連ねていく技能を身につけられれば、まとまりきらない内容でも少しずつは書き出しながら考えることができるので、「何も書けない」ということが少なくなります。そして、少しでも文字という形で表すことができていれば、「漠然とした内容で頭の中に浮かんでいるだけ」という状態と違い、書いたものを見せることで他の人のアドバイスも受けやすくなります。
また、国語の作文とは直接関係ありませんが、英語の授業で「自由に文を書く」際に非常に書きやすくなるということも「書きたい内容を短い文に分ける」メリットとして見逃せません。
日本語で思い浮かべた内容を英文に訳すにあたり、一つの文が複雑になるほど、より高度な文法的知識が必要になります。
例えば以前の複文の説明で紹介した
「母が作ってくれたカレーを食べた。」
という文、英語ではどのように書けば良いかと考えてみてください。
英語が得意な方にとっては何の苦労もないと思いますが、中学生の英語の問題としてはかなり高度な問題になります。中学3年生で習う「関係代名詞」が必要ではないでしょうか。
でも、2つの単文に分けて
母がカレーを作った。
私はそのカレーを食べた。
と考えるとどうでしょう。すぐに英語に訳せそうな気がしませんか。
過去形ではありますが、一般的な「主語+動詞+目的語」の形で書けそうですね。
このように、複雑な内容の文を整理して、複数の単文に直せるようになることには、色々とメリットがあるのです。
では、「長めの一文」を「複数の短い文」に書きなおせるようになるには、どんな知識や技能が必要なのでしょうか。実際に書きかえながら考えてみましょう。
◎文を分けてみる
例えば、以前の記事でも出てきた
前に言っていた大盛の店に、昨日食べに行ってみたが、本当に多かった。
という文を題材にしてみます。
よく使われる方法としては、大きく分類すると、起こった時間の順を追って書く方法と結論から書いてその後補足していく方法があります。
まず、時間で順を追って書く方法でやってみましょう。
述語(述部)になりそうな言葉としては「言っていた」「(食べに)行ってみた」「多かった」があるので、この3つについて起こった時間の順番に書いていきます。
それぞれの主語を考えておく必要がありますね。ここでは
【友達が】言っていた。
【私は】行ってみた。
【量は】多かった。
と設定しました。すでに3つの単文になっていますが、これだけでは話が伝わらないので、もとの文の言葉を利用して、それぞれの文にいくつかの要素を足します。
前に、友達が大盛の店のことを言っていた。
それで、昨日私はその店に食べに行ってみた。
そこの料理の量は本当に多かった。
これで最初の長文で伝えたかった内容は、全て説明することができたでしょう。
では、もう一つの「結論から書いてその後補足していく方法」で考えます。
「言っていた」「(食べに)行ってみた」「多かった」のうち、結論となるメインの述語は「多かった」ですね。主語を付け加えたうえで詳しく書くと
料理の量が本当に多かった。
といった文になります。これを突然言われたら「何の話?」と思いますね。そこで、料理について詳しく説明をするために、他の述語で補足の文を作ります。堅苦しく考えると浮かびづらいかもしれませんので、「何の話?」の続きから日常の会話を想定して考えてみましょう。
私ね、昨日あのお店に料理を食べに行ったんだよ。
前に大盛の店だと言ってたでしょ。
残りの3つの述語を使いました。これを書き言葉らしく変えると、
(料理の量が本当に多かった。)
私は、昨日そのお店に料理を食べに行った。
なぜなら、前に友達がそこのことを大盛の店だと言っていたからだ。
このような文になるでしょうか。
もちろん、この文だけが正解ということではありません。他にもいろいろな書き方がありますし、必要に応じて別の述語を考えて文を作った方が読みやすい場合もあるでしょう。今回書いたのはあくまでも一例です。
さて、この例文を見る限り、「単文を書き連ねる」には何が必要だと言えるのでしょうか。
◎ポイントは「指示語」と「接続語」
文を単文に分けると、複文や重文一つにまとめた時と比べて、「その店」「そこの料理」「あのお店」「そこのこと」など、「指示語」を含んだ表現がたくさん見られるようになります。
「これ・それ・あれ・どれ」「この・その・あの・どの」「ここ・そこ・あそこ・どこ」などの言葉で、いわゆる「こそあど言葉」ですね。
これらの指示語を上手く使うことで、一つひとつの文の構造をシンプルなものにできるというわけです。
また、「それで」や「なぜなら」という言葉を使って、話の流れを伝わりやすくしている部分もありますね。単文同士の関係を表すために「接続語」を使いこなす必要もあるでしょう。
つまり、単文を上手く書き連ねていくためには、指示語と接続詞の使い方を覚えた方が良いということです。
◎まとめると
・長く複雑な文を書こうとして行き詰ってしまいそうな場合は、シンプルな構造の短い単文を一つずつ書いていくことを考えてみましょう。
・短い文を一つでも書き出すことで、他の人に質問や相談をしやすくなりますし、英語の授業の作文にも役立てることができます。
・短文を書き連ねて文章にしていくためには、指示語や接続語の使い方を覚えることが必要です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回の「今日から始める読書感想文」では、指示語の使い方について考えます。