ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

子どもの「社会性」が気になった時に読む本~ピカピカの一年生の教養㊶~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。

 

 今回の「ピカピカの一年生の教養」は「社会性」がテーマです。

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◎次第に学んでいくけれど 

 

 前回第40回では「普段会わない人と会う時、学校生活に関する子どもの本音が見えるかもしれない」という話を書きました。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 学校で楽しく過ごせているのか、お友達と仲良くできているのか、やはり気になりますよね。

 以前の記事でも書いた通り、友達同士のトラブルからも、子どもたちは学んでいくものです。最初から何のトラブルもなく過ごせるのが理想だと考えるべきではないのかもしれませんが、それでもやはり「子どもの人間関係が上手くいっているのか」というのは気がかりな問題です。

 

 お友達とのトラブルであれば、担任の先生やお友達の保護者と相談しながら解決していくこともあるでしょう。

 ただ、それとは別に、特定の友達と云々ということではなく、小学校で他の同級生と過ごす子どもの様子を見聞きする中で、子ども自身の言動が気になるようになるケースもあります。

 

「うちの子は、お友達の中で『ごめんなさい』がなかなか言えてない気がする」とか

「うちの子は、お友達の勉強に対して、ちょっかいを出しすぎな気がする」とか。

 

 

 親から見える「よその子」の姿は、「よその大人の前で見せる姿」であって、家庭内で見せる顔とは別の顔でしょう。対して「うちの子」に関しては、家庭内で見せる姿の印象が一番強いはずです。「うちの子」だって、親がいない場所ではもっと別のふるまいを見せているかもしれません。

 

 そうしたことも含めて、「うちの子」と「よその子達」と比べても仕方がないともいえますが、やはり「うちの子」のお友達との関わり方が「よその子達」と違うと、気になってしまうことはあるでしょう。 

 

「周囲の子ども達が既に身につけられている社会性を、うちの子は何か学び忘れている?」

 

 もし、そんなことが心配になったなら、ちょっと読んでみていただきたいのが

こちらの本です↓ 

 

 

湯汲英史さんの著書

 

子どもと変える 子どもが変わる 関わりことば -場面指導のポイントー

(シリーズ発達障害がある子の「生きる力」をはぐくむ2)

 

で、明石書店という出版社から出ています。

 

↓こちらは、amazonのリンクです。

 

 

 

 発達障害がある子の生きる力をはぐくむ」とありますが、書かれている内容は、全ての子どもが身につけるべき社会性に関わることばかりなので、発達障害の診断の有無に関係なくお勧めしたい本です。

 

 

 以下に、順をおって詳しく紹介させていただきます。

 

 

◎言葉が先か概念が先か

 

  タイトルの「関わりことば」は、「人間が物事を判断する基準や行動の規範ともいえる考え方を、端的に表した言葉」です。

 

 例えば、かつてノーベル平和賞のニュースでも話題になり、この本でも紹介されている「もったいない」。

 日本人が持っている精神を表した、昔から使われている言葉ですね。

 

 仮に、この言葉を知らない人に「もったいない」という表現を使わず、日本人の「もったいない精神」を伝えるとしたら、どう説明すれば良いでしょうか。相手にわかりやすく伝えるのは、なかなか難しいことだと思います。

 

 私たち日本人は「もったいない」という言葉を知ることで、昔からの「モノを大切に思う精神」を受けつぎ、その考え方をみんなで共有してきたのです。そして、世界の人々にこの言葉が伝わることで「日本人にはそういう精神があるのだ」と端的に理解されたとも言えるでしょう。

 

 

 このように人間の意識をや概念を端的に表した言葉というのは、たくさん存在しています。

 

 

 私たちが子どもに何かを教えるとき、「表面上の言葉より本質を理解させる」ことを重要視してしまうことがあります。

 

 例えば、

「『ごめんなさい』と謝っても、反省していなければ意味がないだろう」とか、

「『申し訳ない』という気持ちが子どもの中に生まれれば、『ごめんなさい』という言葉は自然と出てくるだろう」とか。

 

 それは確かに正しい場合もありますが、概念を理解するというのは、幼い子どもにとって難しいことでもあります。

 そこで、本人が理解していない概念について、それを象徴するような言葉をあえて先に教えてしまうというのも、子どもに概念を教えるうえで一つの有効な方法なのです。最初は意味が理解できなくても、その概念を象徴する言葉を繰り返し使うことで、その子の中に新しい概念が生まれることは珍しくありません。また、全く知らない概念ではなくても、子どもの中ではぼんやりとしかなかったものが確立される場合もあるでしょう。

 

「卵が先か鶏が先か」という表現がありますが、「概念を理解したからこそ、その言葉を使えるようになる」ケースだけではなく「言葉を覚えることでその概念が身につく」ということもあるというわけです。

 

 

◎社会生活に不可欠な20種類の概念

 

「関わりことば」は子どもが他者との関わりを理解するうえで必要な概念を端的に表した言葉です。この本は、社会的に必要なまだ概念が身についていない子どもに対して、大人たちが「関わりことば」を教えることで、子どもに社会性を身につけさせていこうという考え方に基づき、全部で20種類の「関わりことば」を紹介しています。

 その言葉を覚えるということは、すなわち、社会で生きていくうえで必要な20の概念を身につけることでもあるのです。

 

 その20の概念は、多くの子どもが小学校に入学する位までには身につけているものだと思います。しっかり定着できているかどうかはともかく、理念としては知っているであろう事柄です。

 

 でも、国語や算数の勉強とは違い「△才になったら〇〇を身につけさせる」と決まっているわけではありません。「覚えているかどうか」をはっきりさせる明確なテストがあるわけでもありません。子どもたちは日常の人間関係の中でなんとなく自然に学んでいきますが、もしかすると、その中のいくつかを覚えそびれてしまうことも考えられるのではないでしょうか。

 

  ですから、もし身近なお子さんについて「周囲の子ども達が既に身につけられている社会的概念を、何か学び忘れているかも?」と気になることがあったら、是非この本を一度読んでみて、20の概念をどこまで身につけられているか振り返ってみてください。もし、「ここがまだ不十分かも」という項目があれば、それを表す「関わりことば」を活用していきましょう。

 

 

◎最後にまとめると

 

「関わりことば」は子どもが生活していく上で必要な社会概念について、端的に表した言葉です。大人が「関わりことば」を子どもに教えることで、その言葉が表す概念自体を子どもに身につけさせていこうというのが、この本の特徴です。

 どんな社会概念を身につける必要があるのかということも本の中に書かれているので、「何か習得しそびれているかも」と感じた時のチェック項目としても参考になります。

 ただ、この紹介の仕方だけでは、具体的な内容がイメージしづらいかもしれませんね。補足情報として、次回の「ピカピカの一年生の教養」で、もう少し具体的な内容や関連書籍を紹介していきたいと思っているのですが、興味のある方はこの記事を読まずに直接実物を読んでいただいた方が良いのではないかという気がしてきました。

 

  興味があるけれど、読もうかどうか迷っていらっしゃるという方は、是非次回もお付き合いください。

 

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。