ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

Eテレ「しまった!~情報活用スキルアップ~」を視聴~見どころやポイントは~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略してききょうけんです。

 

 毎週水・木曜日は単発記事や小ネタの記事を書いていますが、5月は主に「NHK for School」の番組について、実際に見て感じたことなどを書いていきたいと思います。 

 

  

 今回取り上げる番組は「しまった!~情報活用スキルアップ~」です。

 

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◎番組概要

 

 

 「しまった!~情報活用スキルアップ~」

 

(小4~小6・中学生対象 木曜9:35~9:45

 

 

~概要(以下、番組ホームページより抜粋)~

 

 

失敗から学ぶ!
情報活用の基本スキル獲得を目指せ!

 

調べ学習に欠かせない、さまざまな情報活用スキル。

番組では、子どもたちの活動のドキュメントから、陥りがちな “ 失敗ポイント”を抽出して例示し、その解決に向けて、デーモン閣下スキルアップのための技を伝授。「しらべる」「まとめる」「つたえる」活動を成功させるために必須の 3 ポイントが分かります! 

番組ホームページには、各回のスキルを復習できる動画クリップ、授業例、振り返りや発展学習に役立つ演習教材などをそろえており、“ 情報活用能力 ”を効率よく習得し、各教科の“ 課題の本質 ”に迫る時間が確保できます。

 

 以上、番組ページより引用しました。

 

 教科としては、特定の教科に絞らずに「総合・国語・社会ほか」とされています。番組ページにある通り、「各教科の“ 課題の本質 ”に迫る」ための下地となる力を育てる番組ということでしょう。

 

 

 ここからは、4月以降に実際に見て感じた「気になるポイント」等を書いていきます。

 

 

◎わかりやすい「3つのポイント」

 

 毎回10分間の番組ですが、学ぶべきポイントは、3つのシンプルなことがらだけです。

 

 例えば第2回の「写真撮影」の回でのポイントは

 

①撮影には許可を取る

②アップとルーズを使い分ける

③撮影する位置を変えてとる

 

という3つに絞り込まれています。

 

 番組進行役のデーモン閣下が、自身の情報活用場面で実践しているちょっとした工夫やコツを教えてくれたりもしますが、あくまでもポイントは3つです。

 

 

 番組では、このポイントについて

 

失敗例を見せる

ポイントを明示する

それを確認しながら成功例を見せる

アニメーションでポイントをおさらいして終了

 

という構成で語られるため、非常にわかりやすいつくりになっている番組です。

 

 

  当たり前の様な気もするけれど忘れてしまいがち、当たり前のような気がするけれど現実に実行するのは難しい、そんなポイントが毎回扱われています。

 調べ学習をする前に、事前に番組を見てポイントを押さえておけば、せっかくの「調べ学習」の質をより高いものにすることができるでしょう。

 

 

◎失敗から学ぶ体験ができる

 

 この番組で扱われているポイントについて「当たり前の様な気もするけれど実際には身についていない」ということが多いのは、「学ぶ機会の少なさ」に大きな原因があるのではないでしょうか。

 

 

「調べ学習」を全くやっていない学校は少ないと思いますが、年間で1~2回やる程度だったり、夏休みの課題として出題されたりということが多く、「調べ方・まとめ方」自体を振り返って次にいかすところまで手が回らない「やりっぱなし」になってしまうことも少なくないように思います。

 特に夏休みの宿題で調べ学習をする場合、子どもの調べ方やまとめ方に改善点があったとして、夏休みが終わった後にそれを指摘しても改善する機会がすぐにありません。そうなると「単に悪いところを指摘するだけで終わる」ということを避けて「とりあえずできたことを褒めて達成感を味わってもらう」だけで終わってしまいがちになってしまうのでしょう。そして翌年の夏休みも同じ失敗を繰り返すことになり、「1ステップずつ向上する」という機会がないまま学年が上がっていってしまうことも考えられます。

 

 

 また、実際に調べ学習をしたときに、「自分がしっかり調べられたか」を客観的に判断できる子どもは少数だと思います。

 

 例えば「相手に許可を撮らずに写真撮影をしてしまった」というように、子どもたちが取材対象に失礼な態度をとってしまった場合、それを誰かに指摘されなない限り子どもたちが「失敗」に気づくことは難しいでしょう。自分で失礼だとわかるくらいのことなら、大抵は最初からやらずに済んでいるはずです。自分の取材する姿を客観的に振り返る機会は、なかなかありません。

 

 さらに夏休みの宿題などの場合には、子どもは「課題を提出する」ことを目的ととらえてしまいがちなので、提出さえできれば「うまくいった」ということになってしまいます。「本来調べるべきことが、これでは調べられていないよね」という「失敗」は子どもの中で存在せず、「より正しく・より深く調べためにどうするべきか」という観点自体を持つことが難しくなってしまうでしょう。

 

「調べ学習」は実際にやってみる機会が少ないうえに、それを振り返って反省点を探し、実際に改善してみるという機会はさらに少ないのではないでしょうか。

 

 そんな中で、この番組は実際に小学生が調べ学習をしている(ように演出している)映像を見せ、間違い探しのように「改善点」を考えさせるような仕組みになっています。出演している子どもたちが見せてくれる失敗例は本当に「よくやりそう」な失敗ばかりで、子どもたちは自分自身のこれまでの行動と重ねつつ、客観的に「何がいけなかったのか、何を改善するべきなのか」に気づくことができるようになっています。

 

 実際の学習活動ではなかなか得ることのできない「失敗に気づく」「改善点を意識して行動する」経験を、この番組を見ることで補うことができるのではないかと思いました。

 

  

◎ポイントを学んだあとの道のりも長い

 

 前述のとおり、この番組で学ぶポイント自体は非常にシンプルでわかりやすいものですが、現実にそれを実行できるようになるまでにはまた、あれこれとスキルが必要になるでしょう。

 

 例えば先ほどの「写真撮影」の回のポイント「③撮影する位置を変えてとる 」ということの大切さを理解しても、ただ位置を変えれば済むとは限りません。どの場所からとるのが適切かを判断した上で、「①撮影には許可を取る」必要もあります。「③撮影する位置を変えてとる 」ことを適切に実行するには、必要な画像を判断するスキルやコミュニケーション能力を身につけなくてはなりません。

 

 情報活用の学習としては、各回の3つのポイントを覚えることが、ゴールではなくスタート地点といえるかもしれません。ポイントを実行するためにはどうするべきかを考え必要なスキルを身につけていくことが、実際の学習活動のなかでは重要になるでしょう。そのスキル習得過程の方が、子どもたちにとっては長い道のりになるかもしれません。

 でも、先が長いからこそ今のうちにスタート地点に立っておくことに意味があると思います。この番組を見ただけで、実際に情報活用が円滑にできるようにはならないかもしれませんが、一度視聴してみるメリットは大きいと思います。

 

 

 

 今日は「しまった!~情報活動スキルアップ~」を紹介させていただきました。

 

 NHK for School はEテレでも視聴できますが、一度放送済みの番組はいつでもサイトで見ることができますので、気になる番組は是非今からでもチェックしてみてください。(データ通信料にはご注意ください)

 

「ばんぐみ(NHK for School)」ページリンク 

→ https://www.nhk.or.jp/school/program/

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。