ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

身近なものの「かさ」を知ろう~メート法と錯覚~

 

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」研究員のベル子です。

 

 今回は「身近なものの『かさ』」がテーマです。

 

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 先週までに「身近なものの量を覚えよう」というメートル法に関する記事を書いてきましたが、その続きといいますか、補足のような内容です。

 

※先週の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 

◎『かさ』の基準は少し難しい

 

 これまで、身近な「重さ」や「長さ」について、基準になりそうなものを覚えておこうという記事を書いてきましたが、「かさ」について基準を決めて比較するのは他の2つに比べて少し難しい要素もあります。

 

 日常生活において物が「かさばる」と感じるかどうかというのは、実際の体積以上に形状に左右されるところが大きいと思いませんか?

 食器棚などが代表的な例でしょう。同じサイズのお皿を重ねてしまうとあまりスペースをとりませんが、複数のティーカップを収納するとなると場所をとりますよね。それらの「かさ」が仮に等しかったとしても、生活の中での「かさばり具合」とは別問題だということです。

 

 また、携帯電話のデザインなどでは、ふちの部分を丸くすることで実際よりも薄そうに見えるよう工夫をしたりするそうです。反対に、マンションのモデルルームでは設置する家具を一回り小さくすることで部屋を広く見せていることもあるのだとか。

 このように、もののサイズは見た目の雰囲気によって実際とは別の大きさだと錯覚することがあるので、基準を設けてもあてにならないということが起こり得ます。

 

 

◎比べてみると面白い

 

 でも、この「思っているより大きかったり小さかったり」というのは、調べてみると思わぬ発見があって面白い場合もあります。

 

 例えば、お茶碗は種類によってご飯の入る量が異なります。

 大きければたくさん入り、小さければ少ししか入らないのは間違いないのですが、形が異なるものを比べるとなると、どちらごたくさん入るか簡単に判断できません。

 

 お茶碗は横から見た時に丸みをおびているものと、輪郭が直線のものがあります。

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 上の図の、丸っこい赤いお茶碗と、直線的な青いお茶碗では、どちらがたくさんご飯が入ると思いますか?
 このくらいの図だと、どちらがたくさん入りそうか、人によって意見が分かれます。 

 下半分を見ると明らかに赤い方が容量が大きいので「赤の方がたくさん入る」と感じる人もいるでしょう。一方で、上のふちの部分の直径に注目して「青い方がたくさん入りそう」と感じる人もいます。

 

  

 上の図は私のつたない絵なので正確な容量を算出することはできませんが、実際にこうした形の異なる容器の容量を比べたい時は、

 

一方の容器に水を入れて

その水をもう一方の容器に入れ替えて、あふれるかどうか確かめる

 

という手順でどちらがたくさん入るかわかります。

 

 さらに、容器にいれた水を計量カップなどに移し替えれば、3つ以上の容器の容量も簡単に比較することができますね。

 

 生活の中で機会を見つけて、「どっちのプリンの方が多い?」とか「どっちのジュースの方が多い?」など、子どもに問いかけてみましょう。 

 子どもにとって「たくさん」が良い時もあれば、「ちょっと」が良いときもあると思いますが、いずれにせよ自分に影響のあることであれば少し真剣に考えると思います。

 そこで答え合わせをすることで、『かさ」を考えるうえで必要な基準や計算方法についての理解を深めていくことができるでしょう。

 

 

◎「客観的数値」の価値を知る

 

「やせようと思って小さいお茶碗やお弁当箱にかえたのに、全然効果がない!」なんていう時は、もしかしたら、「実は前より容量の大きい器だった」ということもあるかもしれません。

 

 実生活の中では「なんとなく大きそう」「なんとなく小さそう」という感覚でものごとを見ることの方が多いと思いますが、見た目のイメージとは関係なく、客観的な数値が存在するのも事実です。

 

 ご飯の量を減らすのに必要なのは「小さそうな器」ではなく「客観的に容量の少ない器」なのは間違いありません。

 プリンを一口でも多く食べたいなら、「大きそうな器」ではなく「客観的に容量の大きい器」を選んだほうが得です。

 

 その客観性を保つために役に立つのが「メートル法」だともいえるでしょう。

 

「これはたくさん入りそうだけど、〇リットルしか入らない」

「この容器は小さそうに見えるけど、〇リットルも入る」

 

というように、数値ではかることで、個人の感じ方と関係なく量の関係を把握することができます。

 

 メートル法に限ったことではなく数値での表現全体にあてはまることではありますが、誰にでも通じる表現で量を伝えられるということは、非常に重要なことです。

 

 日常のささやかなテーマでも、実際の損得が関わる部分で「かさ」をはかって比べる機会をつくることは、「数学的にものを考える」ことの意味を体感できるという意味でもお勧めです。

 

 

◎まとめると

 

・「かさ」は重さや長さ以上に「見た目のイメージ」の影響を受けて錯覚を起こしやすい概念です。

 

・身近なものを比較して考え、実際に数値で表して答え合わせをする体験を通して、「かさ」自体の感覚を育てると同時に「客観的な数値で数学的に考える」ことの意義を理解することができるでしょう。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。