ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

入賞を狙うことはお勧めできない(前編)~書いてみよう読書感想文②~

 

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

「書いてみよう読書感想文」2回目のテーマは、タイトルの通りです。


 

 真面目に感想文を書いている子の中には「書くからには、できれば賞をとりたい」という子もたくさんいるでしょう。

 また、中学生になれば「内申書に書いてもらえらるかも」というような理由から、全力で狙わないにしても淡い期待をすることもあるのではないでしょうか。

 

 私は読書感想文関連の記事を書いていくにあたり、「良い感想文を書こうと努力することが、その子にとって良い体験になる」ことを願っています。でも、「賞を期待したり狙ったりして書く」ことは、私個人の考えとしてお勧めできません。

 

 あくまでも私の「個人的な気持ち」ですが、そう思うようになった理由として、感想文の学校代表選考の裏側について少しお話しします。私自身の子どものころの体験や仕事で学校に出入りしていた時に見聞きした話から感じ取ったものです。

 

「実際に読書感想文を書く」話からちょっと寄り道になってしまいますが、本格的に実践編に入っていく前に書いておいた方が良いと思い、このタイミングで記事にしました。

 また、長文で前後編になってしまったことも申し訳なく感じています。でも、私としてはデリケートな内容だと思っているので、表現を選んだ結果長く回りくどくなってしまうことが避けられませんでした。内容を削らずに、前後編にします。

 

 この先も何かと回りくどくなりそうですが、よろしければお付き合いください。

 また、「コンクール関連の話には興味が無い」「回りくどい記事は読む気にならない」という方は、今回の前編と来週火曜日更新予定の後編はとばして、来週金曜日の記事からお付き合いいただけると幸いです。

 

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◎コンクールや学校を批判するつもりはありません

 

 最初に誤解の無いように書いておきますと、私としてはコンクールや学校を否定するような気持ちは全くありません。少なくとも、いろいろな経験をふまえた今現在は。

 ただ、読む人によっては学校に対して良い感想を持たないかもしれないなとも思います。私自身も、子どもの頃は少し否定的な感情を持ちましたし。

 

 

 正直なところ、今回の内容を記事にするかどうかは迷いました。

 このブログを立ち上げた際に、「業界の裏側」のような話を書くことは控えようと考えていました。

 もちろん、「普段から目の前の生徒や保護者に聞かれれば答える」ような裏話なら問題ありません。でも、現職の先生が「外部の人に面と向かって話すのは控える」ようなことは、私も書かない方が良いだろうと。

 その考えは今も変わりません。

 

 ただ、前シリーズでもほんの少しだけほのめかして書いてきましたが、やはり「学校の先生が感想文をどう選考しているか」について、このままぼかして記事を書き続けるのは難しいと思いました。

 それをぼかしたままだと、記事全体の内容がぼんやりしてしまいそうです。

 それに何より、「業界の裏話をするのはやめておこう」とは思うものの、実際問題この読書感想文の件に関しては、私が子どもの時に生徒として見聞きしたことがベースになっているので「裏側」というほどのものではないですから、その範囲から大きく外れなければ大丈夫かなと。

 

 前置きが長くなってしまいましたが、私の住んでいる地域(北関東)ではこんなケースもあったという、あくまでも一つの例として読んでいただければと思います。

 

 

◎私自身の「感想文」の成績

 

 そもそもの話として、「感想文の書き方」の記事をあれこれ書くなら、自分自身の実績がどうだったのかは書いておいた方が良いですよね。

 もしも「全国コンクールで受賞歴がある」というのなら、記事にも説得力が出そうです。残念ながら、そんな実績はありませんが。

 

 小・中学生の頃の私は、文章を書くことも何かの感想を話すことも好きでしたが、読書感想文に関しては少し苦手意識がありました。何のために、何を求められて、何を書けば良いのか、いまいちピンとこなかったのです。

 そんな私ですが、中学3年生の時に1度だけ県のコンクールまで進んだことがあります。ずっと昔のことなので記憶に不確かな部分がありますが、「佳作」か「入選」のような表記の賞状をもらったと思います。

 

(※コンクールの形式については前回の記事で紹介しました↓)

kikyouken.hatenablog.com

 

 

 現在はコンクールの部門が2つ(自由図書・課題図書の2種類)に分かれているようですが、当時は3つ(フィクション・ノンフィクション・課題図書の3種類)に分かれていて、代表はそれぞれの部門で1人ずつ選ばれるシステムだったと記憶しています。

 学校の中で3部門計3人の代表が選ばれて市のコンクールに作品を送り、市のコンクールでも3部門で計3つの作品が県のコンクールに送られます。そして県で最優秀賞にあたる賞をとった作品が全国コンクールに進むという仕組みになっていたようです。私は県のコンクールで入賞はしたけれど、全国コンクールへの代表には選ばれなかったということになります。

 

 この時の経験のおかげか、高校生になってからは感想文への苦手意識はあまりなくなりました。

 高校・大学時代にはコンクールに応募する機会はありませんでしたが、書籍や講義の感想を1000字程度で書く機会ということであれば小・中学校時代よりも多いくらいでした。そういった学習の中で自分の書いた文章が、何度となく教授や講師の先生にサンプルがわりに使われるようになりました。もっともそれは良い文章だというよりは「皆が書きそうなことを集約したような内容で個性がない」という理由が大きかったようですが。

 そんな問題がありつつも一応それなりにこなれた文章が書けるようにはなったといえるでしょう。「開き直った」という方が近いかもしれません。あまりモヤモヤと考えずに書けるようになりました。

 

 私自身の学生時代の「感想文」に関する評価は、上記のようなものです。

 

 

◎代表になってからわかったこと

 

 さて、中学3年生の時の話に戻ります。

 

 9月に入って間もなく、学校から市のコンクールへ送る代表が決まりました。その3人中の1人として私が選ばれ、コンクールに向けて作文を手直しすることになります。

 読書感想文は絵やポスターなどの美術作品とは異なり、夏休みの宿題として提出されたものをそのままコンクールに出すことは稀なようです。大抵は選ばれた後に推敲・清書をしなおして提出することになります。私以外の2人も、手直しのアドバイスを受けている姿を見ました。

 でも、私の感想文だけは「手直し」というレベルではありませんでした。「一から書き直し」です。

 

 上に書いた通り、当時の私は感想文に苦手意識がありました。どのように書いたら良いかわからず迷走状態で、結果この年の夏休みには相当トリッキーな形式の文を書いて提出してしまっていたのです。そんな作文をどう手直しするかについて私と担任の先生で相談をしたところ、最終的に先生が出した結論は「この形式はどうかと思うから一般的な形式で書き直した方が良い」でした。形式を変えるとすると、もとの内容はほぼ残りません。

 

「どうかと思う」というのは確かにおっしゃる通りで、私が提出した文章は「感想文」といえるのかどうかも怪しいものでした。ですから先生の意見に納得して書き直すことにしたのですが、同時に納得できないことが一つ出てきます。

 

 だったらどうして代表に選ばれたんだろう?

 全部書き直すなら、他の子でも良いのでは?

 そういえば夏休みに入るよりずっと前に、校長先生から「読書感想文に期待している」と声をかけられたって、お母さんが言ってたような?

 

 その後しばらくの間、この疑問を抱えつつ作文の推敲を繰り返していくことになります。

 そして、推敲の度に先生方からアドバイスを受けるうちに、何となく自分が選ばれた理由や経緯はわかった気がしました。

 それから何年も経ち、大人側の立場で学校の先生と話すようになってから、そういった選ばれ方をするケースは(少なくとも私の地元では)珍しくないということもわかりました。

 

 

◎後編へ続きます

 

 いったいどういう経緯で代表が決められているのか、私なりに考えたことを後編で詳しく書いていきます。

 

 私自身のケースについては、本当のところ当時の先生がどういうつもりだったのか、真相は先生にしかわかりません。

 ただ、当時私が体験した事実だけを見ても、「純粋に良い作品が選ばれるとは限らない」ということはわかりますね。

 もちろん、誰もが唸るような文句無しの名文が書ければ、おそらく賞もとれると思います。でも、他の作品とそれほど大きな差が無い場合、学校の選考基準によって代表が決まります。そして、その基準は後になってからわかることも少なくありません。

「一般的な観点で見た良い作品」を書く努力をしても、報われないかもしれない。そういう現実があるので「これで賞がもらえるかな?頑張って賞をとるよ!」と張り切る子どもを見ると「賞を狙うより、自分が納得できるものを書いた方が良いよ」と伝えたくなるのです。

 

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。 

 火曜日の後編に続きます。