ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

身近なものの長さを覚えよう~メートル法や単位の考え方~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。

 

 今回は「身近なものの長さ」がテーマです。

 

 先週は「身近なものの重さを覚えよう」という記事を書きましたが、その続きです。

 

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 重さの基準として考えやすいものとして、1円玉は1個1グラムとか、板チョコ(お店で100程度で売っているもの)2枚で100グラムとか、1リットルパックの飲み物が約1キログラムといった例を紹介しました。

 

 

 今回テーマとなる「長さ」は前回の「重さ」よりも先に学習し始めます。

 長さ・面積・体積・質量の中で一番最初に学習する単位が「長さ」です。「長さの単位」を学習することと同時に、後に扱われる単位全体の理解を深める観点でも考えていきしょう。

 

 

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◎1つの物に複数の長さがある

 

 長さの単位で表す数値は「細長いもののサイズ」とは限りません。何かの厚さであるとか幅であるとか、日本語で日頃「長さ」と呼ばないもののサイズも含まれるので、まずはその点を理解する必要があります。

 

 また、「かさ」や「重さ」は一つの個体に対して1つの数値しかあませんが、長さについては1つの個体が複数の数値を持っています。私たち自身のサイズも、重さは体重1種類しかありませんが、長さは「身長」「胴囲」「足のサイズ」などいろいろありますよね。

 

 それを理解することがどれくらい難しいかという点においては非常に大きな個人差があり、特に授業などで教わる前からわかっている子もいれば、それをつかめないままプリント学習を繰り返してしまう子もいます。

 わからないままだと、学習活動にしろ日常生活にしろ何かと不便になるので、長さの単位を習うような時期になったら一度しっかりおさえておくと良いでしょう。

 

「その本、何センチくらいだと思う?」と唐突に聞かれた時に、「どこの長さを聞いているんだろう」と疑問に思えるかどうかが一つの指標になります。

 

 疑問に思うような態度を見せずに「〇〇センチ!」というふうに答える場合は、他の本についても聞いてみましょう。「常に縦の長さ(立てて置いた時の高さ)で考えている」とか「常に厚さを答えようとしている」とか、考え方に一貫性があるなら「厚さはどれくらいだと思う?」「(本棚に立てるような向きで見せて)高さはどのくらいだと思う?」と別の観点のサイズを聞いてみます。それで適切な予想ができるようなら「観点によって長さが変わる」ことを理解しているといえるでしょう。

 

 子どもによっては、「何センチくらいだと思う?」という唐突な質問に対し、国語の教科書は「30センチ!」国語辞典は「100センチ!」とような答えを出すことがあります。こういった場合はまだ、「長さ」という指標についての理解が不十分だと考えられるでしょう。その場合は、本の縦・横・厚さ、空き缶の高さ・周など、一つの物に関して複数のサイズをはかることで、理解を深めることをお勧めします。

 

 

「1つのものに複数のサイズがある」ということは、長さの学習の後に「かさ」や「重さ」の観点の学習に進む際にも必要になる概念です。

「このペットボトルの高さは?」

「このペットボトルの容量は?」

「このペットボトルの重さは?」

「このペットボトルの太さは?」

聞き方によって、答え方が変わりますよね。何を聞かれているのかをしっかり把握して答える内容を考える必要があります。

 

 また、「ペットボトルのサイズは?」と聞かれた場合は「〇〇ミリリットル」など容量で答えるのが一般的でしょう。このように、サイズを考えるうえで基準になる単位がなんとなく決まっている場合も少なくありません。そういった基準を覚えて身につけられると、日常の会話がスムーズになります。

 

 

 

◎身近なものの長さ

 

 身近なもので長さの基準にしやすいものとしては、次のようなものがあげられます。

 

ホチキスの針の太さが2本で約1ミリメートル(一本の太さが約0.5ミリメートル)

一円玉の厚さが約2ミリメートル

一円玉の直径が約2センチメートル

マッチ棒の長さが約5センチメートル

千円札の横の長さが約15センチメートル

2リットルペットボトルを立てて置いたときの高さが約30センチメートル

小学校のプールの一番浅い場所の水深が約1メートル

小学校のプールの縦の長さが約25メートル

トラック一周の長さが約200メートル

※学校によってはプールやトラックのサイズが大きく異なる場合もあります。

 

 上記のように、全国的にサイズに統一感のあるものとして「2センチ」や「15センチ」「25メートル」などのものは見かけますが、「だいたい1センチ」「だいたい10センチ」とキリ良く覚えられるものは、あまりありません。

 

 以前の記事で「25×4=100と覚えておくと便利」といった計算を紹介しましたが、計算があまり得意でない場合、「100メートルって、プール2往復分か」「500メートルって、トラック2周半分か」などと考えるのも、それはそれで難しいでしょう。

 

 

 そこで、自分の身体のサイズの中で、ちょうど良い基準になるものを探しておくと良いと思います。 

 

 1センチであれば、「この指の爪の横幅」といったように。身体の色々な箇所をはかって、ちょうど良い「ものさし」を見つけてみましょう。

 ここで「爪の長さ」だとすぐに変わってしまいますから注意が必要ですね。変化しづらく、自分で計算しやすい数値の場所を探します。それでもいつか自分の身体のサイズは変化していきますが、時々チェックをすれば済みますから基準としては意味のあるものです。

 

 そのように自分で基準にできるサイズを決めたりするためにも、身近なところに定規をおいて、気が向いたらいろいろなものの長さをはかれるようにしておくと良いでしょう。重さをはかる道具とは異なり定規やものさしは筆箱の中にも簡単に収められるものですし、もちろん定規自体を基準として役立てられます。また、筆箱には入りませんが、巻き尺もこまめに使えるようにしておくと「長さ」に関する理解が深まります。

 

 身体のサイズや千円札などの基準は、定規や巻き尺などの道具が取り出せない時などに使っていきながら、道具に頼らなくてもイメージできるように少しずつ利用していくと良いと思います。

 

 

◎「単位」の理解を深める

 

 学校の授業でも少しふれられますが、そもそも昔の人が用いていた長さの単位の中には、王様の身体のサイズが基準になっているといわれているものもあります。

 身体のサイズを基準にものさしをつくり「そのものさし何個分か」で「〇フィート」とか「〇ヤード」とか表現していたわけですね。

 

 では、王様が変わってしまったら?違う国だったら?

 その問題は、どんどん成長する子どもが「自分の身体のサイズを基準にする」時にも同じように発生しそうです。

 身体のサイズを基準にするのは便利だけれど、普遍的なものではない気がします。

 その問題を解決するための「メートル法」だといえるでしょう。

 

 

 また「基準となる大きさ何個分か」という考え方は、全ての単位において重要です。

 小学校一年生の算数でも「何マス分か」とか「握りこぶし何個分か」というようなはかり方で長さをはかる授業があります。

  でも学年が上がって目盛りを読む学習などをしているうちに、その感覚が薄れてしまうことも少なくありません。

 長さや重さだとそれほど支障をきたしませんが、面積や体積の学習の際に「基準となる広さ何個分かで表している」「基準となる『かさ』何個分かで表している」というイメージがあるかどうかというのが、公式の理解し易さなどに大きく影響してきます。

 

 単位というものがどうやって成立したのか、そもそも単位とは何なのか、それを理解するためにも、身近なものの長さを基準に考える習慣をつけておくことは有意義だと言えるでしょう。

 

 

 ◎まとめると

 

・まずは「長さ」の概念を理解するところからスタートです。「重さ」や「かさ」と違い、一つのものが複数の「長さ」を持っています。厚さや高さや周なども長さの単位で表すという点も重要なポイントです。

 

・定規や巻き尺を身近な場所に置き、自分の身体や身の回りのもののサイズをこまめにはかって、基準にしやすいものをを探してみましょう。

 

・そうした作業や思考を通して、メートル法や単位がそもそも何のためにあるのか、理解を深めることができます。

 

  最後まで読んでいただき、ありがとうございました。