夢と現実を見る夏~書いてみよう読書感想文⑥~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」研究員のベル子です。
この記事は「書いてみよう読書感想文」シリーズの6回目となります。
前回は、比較的「多くの子が書きやすい」と思われる一冊の本「もぐらはすごい」を題材に、考え方の一例を紹介していきました。
※前回の記事はこちら↓
「すごいもぐら」と「すごい〇〇」、
「すごいもぐら」と「すごくないもぐら」など、
対比させて書く形式に当てはめることで「何を書けば良いのかわからない」と行きづまることが少なくなるという話でした。
そうした書き方自体に対象学年はありませんが、「もぐらはすごい」は本年度のコンクールで低学年の課題図書となっています。(もちろんもっと上の学年の子どもが「自由読書」部門で読書感想文の題材にしても問題ありません。)
今回は、どちらかというと中学生くらいの年齢の子ども向けの本を紹介します。
読解や作文という観点でも前回よりも少し難しいかもしれません。「本を読むのも作文を書くのも苦手じゃないけれど『感想文』は苦手」というタイプの子にお勧めの本です。
◎「なるにはBOOKS」シリーズ
「なるにはBOOKs」は、ぺりかん社が出版している書籍のシリーズです。
詳細はぺりかん社のサイトをご覧になった方が分かりやすいかもしれませんので、リンクをはっておきます。
ぺりかん社「なるにはBOOKsシリーズ」紹介ページリンク
↓
「なるにはBOOKs」シリーズとは、
(※以下、上記サイトから一部引用)
●少年少女の夢を応援することを目的に刊行を開始し、現在150点刊行。現代社会のほとんどの職種をカバーする最大の職業ガイドシリーズ。
●各巻ともその分野を専門とする執筆陣を起用。ドキュメント・仕事の世界・なるにはコースからなる構成で、その仕事の魅力・現実から、なり方まで幅広く紹介。今後も多彩な職業を続々出版予定。
(以上、サイトから引用)
このシリーズは、以前は
「国際公務員になるには」
「作家になるには」
のように「〇〇になるには」というタイトルで、1冊につき1つの職業を掘り下げる内容のものがメインでした。
「実際にはどんなことをしている職業なのか」
「なるためには、どんな資格や学歴が必要か」
「どんな人が向いているのか」
といった情報が詳しく書かれています。
それは現在でも続いていますが、最近では「1冊で1つの職業」という形式だけではなく
「大学学部調べ 獣医学部」
「証券・保険業界で働く」
というようなシリーズも続々と出版され、より広い領域で子どもたちのニーズに答えることが可能になったようです。
◎「夢」について具体的に考える
「〇〇になりたいな」「〇〇だったらいいな」という願いを持つことは、とても良いことだと思います。
その中には、「叶った時の想像を膨らませて楽しめれば良い」というものから、「本気で実現したい」ものまで様々なタイプの願いがあるでしょう。
もしも「本気で実現したい」のであれば、今から具体的に努力していく必要があるかもしれません。
では実際に何をするべきなのかと考えると、「本当はもっと勉強したほうが良いんだろうな」くらいの漠然としたものしか思い浮かばないということが少なくないと思います。確かに実際の進路選択において「勉強しておく」ことが役に立つ場面はたくさんありますが、「何のためにどうして勉強が必要なのか、何の勉強が必要なのか」ということをつかめないまま「何となくそう思っているだけ」になってしまいがちです。
それに、現在その仕事をしている人でないと想像もつかないような観点で「向き不向き」がある場合も考えられます。
例えば動物関連の仕事であれば、世間一般では「動物好きの優しい子」が向いているイメージですが、優しさ以上に体力や腕力がないと厳しい場面もあるでしょう。それに生き物に関わるとなると、嗅覚が過敏だったりアレルギーを持っていたりすると人一倍苦労する可能性もあります。「だから向いていないタイプの子は絶対になるべきではない」ということではなく、その仕事と自分の特性を知った上で「それでもどうしてもやりたいか」「向いていない点をどうカバーするか」しっかり検討しておいたほうが良いということですね。
小中学生だと、将来のことなど想像が及ばない部分もあると思いますが、「漠然とした夢や希望」と「現実の進路選択」を結び付けて考えることも、いずれは必要になります。まだ具体的になりたい職業が決まっていなくても、少なからず興味のある職業について知り、今後の進路についての希望やそれを実現するために今できることを考えるために、この「なるにはBOOKsシリーズ」はお勧めです。
◎なるにはBOOKsと感想文
仮に「なるにはBOOKsシリーズ」から1冊を選択して感想文を書く場合、どのような内容を書けば良いのか。
これは「感想」ということを意識しすぎず、「本を読んだうえで考えた、自分の進路について」書いていけば良いでしょう。
・このシリーズの中で、何故この1冊を選んだか。
(もともとどのような理由で、どんな進路を希望していたのか。)
・この本を読んで初めて知ったこと
(自分に向いていると思った点、向いていないと思った点など。)
・それをふまえて、今後の進路をどうするのか
(有利な点をどう伸ばすのか、不利な点をどうカバーするのか。)
1つ注意しておくことは、「最終的に、特定の職業を否定したり攻撃したりするような内容は書かない」ということです。
もちろん、読んでみて「やっぱり別の進路を考えよう」と思ったのなら、それを正直に書くのは全く問題ありません。でも「思っていたよりダサいみたいだから嫌だ」というような書き方をするべきではないでしょう。自分が希望していた職業であれそうでない職業であれ実際にその仕事をしている人がいるわけで、その人たちへ敬意を払うことは大切です。
また、単に「やーめた」というような内容ではなく、「〇〇な仕事の方が自分に向いていると思った」というように代案まで考えて書くようにすることをお勧めします。これは、「今度は『〇〇士』を目指す」というように詳細に考える必要はありません。ただ、「〇〇だからダメ」「〇〇だから無理」というような否定で終わるのではなく、「〇〇方面の仕事の方が向いているかもしれない」「自分の〇〇なところを生かせる仕事を探そう」というように、前向きな結論で文章を終えられると良いでしょう。
◎まとめると
・「読書や作文は苦手ではないけれど『感想文』はわからない」という子どもに、「なるにはBOOKsシリーズ」はいかがでしょうか。
・自分が興味を持った1冊を読み、その内容をふまえて自分の進路について考え、作文にまとめれば完成です。
・「なりたい」「なりたくない」は自由ですが、特定の職業を否定するような記述にはならないよう気を付けましょう。また、自分の将来についても悲観的・否定的に結ばず、少しでも前向きな結論を考えることをお勧めします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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