ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

骨組みを考える(起承転結・前編)~今日から始める読書感想文㉚~

 こんにちは
キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。


「今日から始める読書感想文」では、前々回から「文章の構成を考える」というテーマに入りました。

 

 前回からは、いろいろな種類の文の組み立てについて、もう少し具体的に考えていこうということで、入門編として「箇条書き型」の練習方法やメリットを紹介しました。

 

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 この書き方は、感想を掘り下げて、コンクールで評価されるような深い内容を書くことが難しい形ではあります。でも事前に内容をメモに書き出してからまとめて構成を考えてから実際の作文を書くという手順の練習になります。

 また、字数の調整もしやすい形なので、「指定された字数で書くのが苦手」という子どもの練習にお勧めの形として紹介しました。

 

 今回は「起承転結型」の前編です。

 

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◎「起承転結」とは

 

 もともとは漢詩の絶句(4行からなる詩)で使われる構成ですが、最近では「4コマ漫画」と関連付けて語られることが多いでしょうか。文章を「起」「承」「転」「結」という4つのパーツから成り立たせる構成で、漢詩や4コマ漫画だけでなく、歌や小説などでも使わています。

 

 ただ、その時々によって「起」「承」「転」「結」それぞれの役割についての考え方は、少しずつ異なります。そのため、ここでは学校の国語の授業で語られる一例をごく簡単に紹介しておきましょう。これが全てということではなく、「起承転結の一例」くらいにとらえてください。

 

起  文章全体のテーマとなる事実や出来事、物語であれば舞台設定などを述べる。

 

承 「起」に関する説明を付け加えたりする。物語であれば、話の展開の発端になる出来事が語られたりする。

 

転 「起・承」の流れと別の内容、反論などを書く。物語であれば、大きな事件など山場となる出来事が語られる。

 

結 全体を関連付けて締めくくる。物語であれば「オチ」にあたる結末を書く。

 

 

 かなりおおまかに書きましたが、さらにザックリまとめるのなら、

 

文章を4つに分けて

1つ目で書き出し

2つ目はその続き

3つ目に山場をつくって

4つ目でまとめる

 

というイメージでしょうか。

 

  

 ◎読書感想文と「起承転結」

 

  

 さて、以上ような「起承転結」の構成からなる作品例にどんなものがあるか、ちょっと考えてみてください。

 

 何が思い浮かんだでしょうか。

 

 

 昔ながらの歌「荒城の月」は、大きく4つのフレーズに分けることができますが、3フレーズ目で曲調に大きな変化がありますね。それに続く4フレーズ目は1・2番目のフレーズと似たもので締めくくっています。

 

 学園ドラマなどでは、序盤に舞台設定が示され、その後各キャラクターの物語が展開し、終わりに近づくと学園全体の大きな事件が起こり、キャラクターが力を合わせてハッピーエンドで終わる、といった展開が「王道」ともいえるのではないでしょうか。

 

 

 こうして考えてみると、「起承転結」で構成される作品の多くは芸術的な作品であったり娯楽作品であったりと、「鑑賞する人間をひきつける」ために使われることが多い手法だということがわかります。

  実際に、「論理的な文を書く構成としては推奨できない」と言う人も少なくありません。

 

 つまり、読書感想文の構成としては使いづらい部類に入るのです。

 

 もちろん上級者であれば上手に利用して、読み手を引き付ける素晴らしい感想文を書けるかもしれません。でも、実際のところそれはかなり難しい話です。

 

 

 では、なぜ今回紹介することにしたのか。

 それは、感想を書くことに慣れていない子どもでも比較的書きやすい、「起承転結」を使った別の方法を紹介するためです。

 

 

◎「起承転結」で構成される作品を読む

 

 この手法は、その子の年齢や能力に関わらず一人ではできないものなので、周囲の大人の協力が少し必要になります。どちらかというと、低学年や中学年の子ども向きかもしれません。

 

 最初の大人の側でしておく準備は、子どもが本を読む前に本文を「起」「承」「転」「結」の4つに分けておくことです。

 前述の通り、「起承転結」型の構成で書かれた本はたくさんあります。

「起承転結」型で書かれた本の中から、その子が気に入りそうな本を大人の側でいくつかピックアップして、その中から「読んで感想を書く本」を子どもが選ぶことになりますね。

 

 子どもには最初に「起」だけを読んであらすじや感想をメモしてみるように声をかけます。

「承」「転」「結」についても分割して読むように話し、それぞれを読み終わったタイミングで、それぞれのあらすじや感想を書き出すようにするのです。

 

 感想文を「起承転結型」にするのではなく、「起承転結型」の文を読んで、

 

「起」の感想文

「承」の感想文

「転」の感想文

「結」の感想文

 

という骨組みにするというわけですね。

 

 現実に「感想文」としての形にするには、もう少し大人のフォローが必要になると思います。

 

 この方法の詳しい進め方について、次回の後編で紹介させてください。

(次回は火曜日の20時更新予定です。)

 

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。