おすすめの短編シリーズ(中・高学年編)~書いてみよう読書感想文⑩~
こんにちは、
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」研究員のベル子です。
「書いてみよう読書感想文」シリーズでは、前回から短編物語のシリーズものを紹介しています。
※前回の記事はこちら↓
前回は低学年向けの短編集として寺村輝夫さんの「王さまシリーズ」を紹介しました。
今回は中・高学年の子ども向けの短編ですが、短編というよりも2人の短編作家さんに関する記事になります。
※「中・高学年」とはかなりざっくりした区分ですが、本の対象学年はあくまでも参考程度に考えてください。どのような本がその子に合っているかは個人差が大きいため、こだわらずに探した方が良いでしょう。
◎メモの練習から始めるなら
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感想文に限らず作文を書くことに慣れていない子どもには、まずメモを書く練習を積む経験が必要です。
何かと「メモを書けば良い」と言われますが、「よしメモを書こう」と意識したところでいきなり素晴らしい案が出てくるわけではありませんし適切なメモが書けることはありません。
たくさん数をこなしていく中で、良いアイディアが見つかるものですね。
一人目として紹介する星新一さんは「ショートショート」というジャンルで有名な方です。
不思議な発明品や変わった宇宙人などSFらしい設定が多く、短い文章の中で「もし〇〇だったら?」といった想像を膨らませやすい描写がされ、きっちりとした落ちがつきます。
一編一編が非常に短いので、一編読んで「とにかく思いついたことを書く」という作業を繰り返してみましょう。感想を書きやすい一編を探し出すためでもありますが、この作業自体がメモを書く練習になります。
星新一さんの大抵の作品は「児童文学」ということではないので子どもにはわかりづらいエピソードもあります。その場合は無理にメモをとらずに次の作品に進めば問題ありませんが、漢字の読みやすさ等も考えると「児童向け」として出版されているものを探した方が読みやすいでしょう。
◎ファンタジーが苦手なら
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前回の王さまシリーズも今回の星新一さんのショートショートも、かなり現実離れした設定になっています。
「おとぎ話」や「SF」が好きな子はたくさんいますが、一方で「そういった設定だとイメージがわかないし登場人物に共感もできない」という子もいるでしょう。
そういったファンタジーな世界観が苦手な子どもには、オー・ヘンリーの短編はいかがでしょうか。現実的な世界での人間ドラマを書いている作品がほとんどで、少し不思議な出来事があっても、魔法や異星人が大っぴらに出てくることはほぼありません。
オー・ヘンリーは「賢者のおくりもの」や「最後の一葉」で有名なアメリカの作家です。
こちらも元々の作品は児童向けというわけではないですし、舞台がアメリカということもあって、現代日本で生活している子どもにはわかりづらい表現もみられます。一部表現をわかりやすく書き換えたりして児童向けに出版されたものがいろいろと出ていますので、そちらを探して読んだ方が良いでしょう。
短いストーリーの中で「どうしてこんな行動をとったんだろう?」「自分だったら?」と考えさせられる作品がたくさんあります。いくつか読むと「強く印象に残る」一編が出てくるのではないかと思います。その作品について自分なりに考えていくと良いでしょう。
印象に残っても、それ以上語るのが難しいという子も少なくありませんが、他の人と「私はこう思う」と語りあうことで、考えを形にしていきやすくなるので、大人も一緒に読んで自分の感想を語ってみるのがお勧めです。
◎まとめると
数をたくさん読んでメモを書く練習をしつつ感想文のアイディアを探し出すなら「星新一ショートショート」、ファンタジーな世界設定が苦手な子なら「オーヘンリー短編集」がお勧めです。
いずれも読みやすい作品ですが、もともと児童文学作品ということではないので、読書に慣れていない子どもは児童用に出版されたものを探して読んだ方が良いでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。