一の位に注目する(小4の割り算)~立ち読み計算ドリル⑥~
こんにちは
キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。
今回の「立ち読み計算ドリル」は、計算の見通しを立てるコツの1つを紹介します。
前回・前々回の記事では、方程式の検算について手間を省く方法を紹介しました。
※前回の記事はこちら↓
今回の記事で紹介するコツも方程式の検算に活用することができますが、最初に有効活用できるタイミングは小学4年生くらいになるかと思いますので、タイトルのような表記になりました。
それに合わせて、4年生の割り算の問題を例に考えてみましょう。
◎まずは問題です
<問題>
次の割り算の式のうち1つだけ割り切れるものがあります。それはどれですか。
A 773÷42
B 774÷43
C 775÷44
D 776÷45
<答え>
正解はBです。詳細は後ほど。
◎一の位できまる
以前の「立ち読み計算ドリル」でも少し紹介しましたが、いろいろな計算の手間を省くためには、概数で考えることが非常に重要です。そして「およそどのくらいの数か」を判断するためには、その数の桁数と、一番左側にある数に着目することになります。
でも今回のように「割り切れるかどうか」を判断する際には、端数の有無がポイントになりますから一の位こそが重要だといえるでしょう。
では一の位に注目したうえで、どのように判断するのか。
ここで視点を割り算からかけ算に切りかえて考えてみます。
◎割り算⇔かけ算
もしも、「A÷B」が割り切れて答えが「C」になるなら、「B×C=A」が成り立ちますね。
例えば
72÷8=9 → 8×9=72
30÷3=10 → 3×10=30
というように。
このように、かけ算と割り算は関連付けて考えることができます。
仮に今回のAの式が
A 773÷42=▢
と割り切れるなら
42×▢=773
の式について、▢にあてはまる整数が存在するということになります。
そして反対に、▢にあてはまる整数が存在しないなら、Aの式は割り切れないといえるでしょう。
ここで、一の位に注目するのです。
AとB2つの数の積(かけ算の答え)の一の位は、AとBの一の位の積になります。
これは、筆算の形を思い浮かべるとイメージがしやすいですね。
12
× 34
――――
48
36
――――
408
計算結果の十の位や百の位は、2つの数を足したり繰り上がりがあったりするのに対し、計算結果一の位については赤い部分のみで決まります。
それをふまえてAの式について考えてみましょう。
42×▢=773
2の段の九九を思い出してみると
2×1=2
2×2=4
2×3=6
2×4=8
2×5=10
2×6=12
2×7=14
2×8=16
2×9=18
そして
2×0=0
ですから、2に何をかけても一の位が3にはなりません。
したがって、 A 773÷42=▢ は割り切れないと判断できます。
同様にB~Dについても考えます。
まず、 B 774÷43=▢ をかけ算に書きかえると
43×▢=774
3×8=24 ですから、可能性があります。
では、 C 775÷44=▢
→44×▢=775 はどうでしょうか。
4の段の答えに「一の位が5になるもの」は存在しないので、Cは割り切れないことがわかります。
同様に、D 776÷45
→45×▢=776 についても
5の段の答えに「一の位が6になるもの」が存在しないことから、Dは割り切れないといえるでしょう。
以上のことから、可能性があるのはBだけだと絞り込めるのです。
これだけではBが割り切れると断言できませんが、問題文に「1つだけ割り切れる」と書いてあることから、答えは消去法でBとなります。
◎活用方法は
このような形式の問題を見かけることはめったにありませんが、実際の計算でこの考え方を活用できる機会は意外とたくさんあります。
例えば割り算の文章題などでは、問題文から「余りは出ないはず」と予想されることも少なくありません。大きな数の割り算の商を立てる際に一の位に着目すると、素早く商を見つけられます。
また、冒頭で少しふれましたが、方程式の検算などでも
「代入後の式の値について一の位に矛盾があれば、正確な数を求めなくても『解が間違っている』と判断できる」
場合あるのです。
◎まとめると
・大きな数の割り算でも、「割り切れる可能性」については一の位のみに着目するだけで判断ができます。
・この考え方は、割り算を解く時だけでなく検算への活用も可能です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。