ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

お勧めの短編シリーズ(中学生編)~書いてみよう読書感想文⑪~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」研究員のベル子です。

 

「書いてみよう読書感想文」シリーズでは現在、比較的感想を書きやすいと思われる短編物語を紹介しています。「短編シリーズ」というよりも、短編作家の紹介と言った方が良いかもしれません。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 前回は中~高学年向けとして、「星新一ショートショート」と「オー・ヘンリー短編集」をお勧めしました。

 これらは元々児童文学ではなく対象学年というものはありませんから、もちろん中学生にもお勧めです。

 今回にはそれに加えて「中学生ならこんな短編も良いかも」ということで、3人の作家について書いていきたいと思います。

 

 

◎ファンタジーが苦手なら

 

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「魔法や異世界とか現実離れした設定だと、感情移入できない」という子には、重松清さんの短編はいかがでしょうか。

 

「どこにでもいそうな人」の「ありふれた日常」がリアルに描かれていて、それぞれの子がそれぞれに何かを考えさせられるような作品になっています。

 部活動やいじめ、親との考え方の違いなど、中学生にとっては思い浮かべやすい描写が多く読みやすいでしょう。実際に国語の教科書に掲載されている作品もあるくらいですから。

 

 上にリンクを貼った本は「特に少年少女にお勧め」と思われる作品をピックアップした短編集のようです。

 

 重松さんの作品の中には、「児童小説」として書かれたものも一部にありますが、ほとんどが一般向けとして書かれています。その中の多くが中学生にもなんとなく共感できそうな内容ですが、一部に「完全に大人向け」のものもあるようなので、児童書として出版されているものを選ぶと良いでしょう。

 

 

◎少し抽象的に考えたいなら

 

「学校生活」や「家族関係」などは身近な話題でイメージをしやすいのですが、子どもによっては「かえって書きづらい」と感じることがあるでしょう。

 自分と照らし合わせて考えれば、いろいろと感想や考えが出てくることと思います。でも、題材が「まさに今、子どもが直面している悩みに関すること」だったらどうでしょうか。

 身近すぎる、生々しすぎることで「学校の先生が読む(しかも友達も読むかもしれない)作文に書く」ということに抵抗を感じるかもしれません。

 

 これまで「読書感想文は自分の経験や心の変化を書く」といった話をしてきましたが、それは自分のプライバシーをさらけ出すことにもなりかねません。本人が納得して書くなら何も問題ありませんが、「これは書きたくない」という内容が出てきてしまうことも全く悪いことではありませんよね。

 

 あまりに日常的な題材だと、それに関する自分の思いを周囲の人に知られたくないということもあるでしょう。

 そういった芥川龍之介宮沢賢治の短編がお勧めです。

 

 


 

 


 

 

  こちらも「教科書で見たことある」という子が多いと思います。作家や作風の紹介は全く必要ないかもしれませんね。

 

 古い作品ですから原文のままだと読みづらいかと思いますが、一方で読書慣れしている子の中には「その雰囲気が良い」と感じる子もいるでしょう。いろいろな出版社から少しずつ形式(ルビの有無や旧仮名遣いの扱いなど)が異なるものが出ていますから、実際に図書館や書店で少し内容をチェックして、自分に合ったものを探すと楽に読み進められます。

 

 もしかしたら以前に他人から借りたものを少し読んでみて「ちょっと合わない」と感じたことがあるかもしれませんが「別の出版社の本ではスラスラ読める」という可能性もあります。

 

 上にリンクをはった「青い鳥文庫」は、小学生が読むことを想定してかなり平易な雰囲気になっています。読書に慣れていない、本を読むことに抵抗があるという子ならば、こういった本を選ぶのも良いでしょう。

 

 また、当たり前のことではありますが「芥川龍之介の作品はスッと頭に入ってくるけど、宮沢賢治は読みづらい」「宮沢賢治は読みやすいけど、芥川隆之介は一回では頭に入ってこない」というように、作風で合う合わないがありますので読む本人が手に取って選ぶのが一番です。

 

 

◎まとめると

 

 

  

 

 身近な題材の短編で感想を書くなら重松清作品、題材が身近過ぎると書きづらいなら宮沢賢治芥川龍之介の短編がお勧めです。

 

 重松清著の短編については少年向けに作品を選んで出版した本が何冊かあるので、まずはそれを読んでみると良いでしょう。

 

 宮沢賢治芥川龍之介の短編集については多種多様な形式のものが出ているので、子ども自身が手に取って自分に合うものを選んだ方が良いでしょう。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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