ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

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九九を使いこなす(後編・小2のかけ算)~立ち読み計算ドリル⑪~

 こんにちは

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

   紙や鉛筆をなるべく使わずに答えを判断する工夫について考える「立ち読み計算ドリル」。

今回は「かけ算を使いこなす」の後編です。

 

※前編はこちら↓ 

kikyouken.hatenablog.com

 

「九九をマスターできたか」判断するうえで、まず最初の基準となるのは「暗唱ができるかどうか」ということでしょう。でも、実際に算数の学習活動を円滑に進めるためには「暗唱できる」だけでは不十分だといえます。

 前回は「逆からも暗唱できるようにしておく」、「複数の積(かけ算の答え)を見て、何の段に出てくる数かを答えられるようにしておく」というポイントについて紹介しました。

「逆からの暗唱」は「毎回毎回『×1』から順番に唱えるのではなく、任意のかけ算の式を見て必要な部分だけ唱えられるようにする」ことにもつながっていきます。

「計算結果から式を思い出す」というのは、高学年以降の約分や通分などの学習でも非常に重要になるポイントです。

 

 

 今回はその続きとして、その他のポイントに関わる問題を出題します。前回2問出題しましたので、3問目になりますね。

 

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◎少しややこしい3問目は

 

<問題>

 

 積が小さい順に、かけ算九九を並べていきます。例えば、積が一桁の部分を並べると

 

1×1=1

1×2=2、2×1=2

1×3=3、3×1=3

1×4=4、2×2=4、4×1=4

1×5=5、5×1=5

1×6=6、2×3=6、3×2=6、6×1=6

1×7=7、7×1=7

1×8=8、2×4=8、4×2=8、8×1=8

1×9=9、3×3=9、9×1=9

 

という風になります。

 

 この時、積が5の式(1×5=5、5×1=5)と積が9の式(1×9=9、3×3=9、9×1=9)の間には、10個の式があります。

 

※下の赤い部分です。

1×5=5、5×1=5

1×6=6、2×3=6、3×2=6、6×1=6

1×7=7、7×1=7

1×8=8、2×4=8、4×2=8、8×1=8

1×9=9、3×3=9、9×1=9

 

では、

積が45の九九と54の九九の間には、いくつの式があるでしょうか。

(あくまでも1×1~9×9までの、一般的に九九と呼ばれている式に限ります。5×10や2×25などは含みません)

 

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<答え>

 

正解は3つです。詳細は後ほど。

 

 

◎積から式を考える

 

 九九を利用してかけ算の計算問題を答えるられるようになったら、次に出題されるものとしてポピュラーな問題は「答えが20になる九九を答えましょう」というような「積からその式を答える」問題です。

 これは前回の「何の段かを考える」ということとも関連していますね。

 九九を暗唱する際はあくまでも「いんいちがいち」であって「いちはいんいち」という練習は一切しないため、提示された数から該当する九九を答えるというのは、式から積を答えるのに比べてかなり難しいものです。

 

 前回のような「何の段かを答える」という問題パターンの場合、答えが見つかると明確に「答えられた」と手ごたえを感じられるでしょう。それに対し「答えが〇〇になる九九」を答えるパターンの厄介なところは「正解が何個あるのかわからない」点ではないでしょうか。

 

 12や18などのように4種類の九九で表現できる数もあれば、13のように1つもない数もあります。1つ式を思いついても「まだあるかもしれない、でもないかもしれない」という中で考えなくてはいけないので、かなり九九への理解が深まっていないと難しいのです。

 

 すべてを完璧に暗記し、必要な情報を呼び起せるようにしておけば答えられるようになるでしょう。でも、そこまで単純に丸暗記するのはとても大変です。

 ある程度、九九の理解を深めていくほうが近道だといえます。

 

 例えば「積が奇数の場合2、4、6、8の段の式は絶対に無い」とか「6×〇という式が出てきたら、2×〇や3×〇がないか考えてみる」とか「でも積が20以上になったら2の段はない、30以上になれば3の段もない」というような規則性があります。

 そうした規則性を「答えが〇〇になる九九は」という問題を解く中で見つけたり、問題を解くのに活用したりして理解を深めていくのです。最初のうちは「答えが何個あるかもぼんやりしているし、ただの計算問題に比べると難しい問題」と感じると思いますが、こうした問題に対応できるかどうかは、今後の学習活動でかけ算を使いこなせるかどうかに大きく影響してきますから、計算問題がスムーズにできるようになってきたらタイミングを見計らって練習をしておくと良いでしょう。

 

◎積の順に並び替える

 

 そこから更に発展したものが、今回の問題で利用する「積が小さい順に九九を並べた時、前後にどのような式があるかを答える」という技能です。

 

 頭の中で考えていくとかなりややこしいようにも思えますが、先ほどの「積から式を答える」がしっかり身につくと、「頭のなかで考えなくてはいけないこと」を絞り込めるため、混乱も避けられるようになります。

 

 今回の問題では「九九の答えにない数」をしっかり把握しておくと、かなり楽になるでしょう。

 

「積が45の九九と54の九九の間」ということは、答えが46、47、48、49、50、51、52、53の8つのどれか(どれでも)ということになりますね。

 1つの数字に対して4つの九九がある場合も考えられますから、積となる数8つ分の九九をあげるとなると少し大変な気がしますが、実際に少し考えてみると、九九の答えとして出てくる数はほとんどありません。出てくるのは48(6×8、8×6)49(7×7)だけで、他の数は九九では見ないものです。

 そこに気づけるかどうかが、まず重要です。九九覚えたての頃だと「答えが46になる式って何かあったっけ?」と一つずつ丁寧に考えていかなくてはなりません。暗唱に慣れてきて「無かった気がする」という考えが浮かんでも「無かった」と確信を持つためには何かしらの根拠が必要です。根拠としてはいろいろな理屈が考えられますが、先ほどの「積が20以上になったら2の段はない」などの思考を重ねることで、適切に判断できるようになるでしょう。自分で試行錯誤を繰り返して、自分の理論を確立するところまで理解が進めば、その後の学習内容の理解に非常に役に立つので、余裕のある時に「積の順に並べる」作業をしておくことをお勧めします。

 

 いきなり「頭の中で並び替え」というのは非常に難しいですから、まずは計算カードを並べていく作業から始めていくと良いでしょう。

 

 

◎まとめると

 

・九九を利用した計算問題がスラスラ解けるようになったら、積(かけ算の答え)から該当する九九を答える練習をしておくと良いでしょう。

 

・さらに発展させて「積が小さい順位九九を並び替える」「積が〇〇くらいになる九九をあげる」といった練習をすると、理解が深まります。

 

・どちらかというと「今後の学習を見据えて」の練習であって、「今すぐできるようにならなくては」と考える必要はありません。ただ、一度やらせてみると理解の度合いがわかるというメリットもあります。時々様子を見ながら挑戦してみて、難しそうなら少し時間をおくくらいの気持ちで取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。