ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「ホウキ」でコミュニケーション?~箒のいろいろ~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 今日は学校の清掃活動で毎日のように使われる「箒」の話です。

 突然ですが、ちょっとイメージしてみてください。

 

 学校に行って、掃除をすることになりました。

「では、あなたはB班なので、玄関に集合してください。そこで詳しい場所を説明をします。階段下に道具が置いてありますので、1人1本ホウキを取って行ってください。」

 

 この時、頭の中で浮かんだ「ホウキ」はどんなイメージでしょうか。

 

◎箒のいろいろ

 

 家庭で「掃除」というと真っ先に思い浮かべるのは「掃除機をかける姿」ではないでしょうか。

 もちろん拭き掃除も掃き掃除もありますし、実際掃除機を使わず他の道具のみで掃除している方もいるでしょう。でも家庭での「掃除道具」のメインといえば、現在では掃除機だと思います。

 

 でも、学校では今でも箒や雑巾がメインで、掃除機を利用することの方が稀です。

 

 とはいえ「箒」といってもいろいろありますよね。学校で見かける箒にも、いろいろな種類があります。

 

 

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↑各教室に何本も置いてあるこんな箒もあれば

 

 

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↑校庭の掃除でのみ使う箒もあります。お寺の境内を掃除しているお坊さんが持っているような箒ですね。

 

 大抵の場合は「ホウキ持ってきて」で通じます。それは「教室の掃除なら、この箒」「ベランダの掃除なら、この箒」というイメージがある程度定着しているからですね。

 それでも時々「『ホウキ』って、どの箒?」「あの箒は、何て伝えればわかってもらえるの?」と迷ってしまうことはあります。

 

 そんな時、どんな風に説明すれば良いのでしょうか。

 

 もちろん説明にはいろいろな方法がありますが、せっかくならそれぞれの箒の呼び名を確認してしまおうというのが、今回の記事です。

 

 

◎箒の呼び名 

 

 アマゾンで「箒」を検索すると、それはもうたくさんの種類の箒がヒットします。

 そこからイメージ通りの箒を絞り込む際には、それぞれの箒の詳しい情報を入力したうえで検索しないといけなくなるわけですが、主に2種類の視点で分類されていることが多いようです。

 

 1つは、使う場面や用途などからの分類、もう1つは穂の部分の材質からの分類になります。「穂」というのは、実際に掃く毛のような部分のことです。持ち手の部分は「柄」と呼びますが、それよりも「穂」の情報の方が優先されています。

 

「穂」の部分の材質としては、草(ホウキギなどの植物)、棕櫚(ヤシ科の植物シュロ)、竹、シダ、動物の毛、羽根、化学繊維などがあり、それぞれの場面ごとに適した穂があります。

 棕櫚でできていれば「棕櫚帚」、化学繊維でできていれば「化繊帚」のなどと呼ぶのですね。実物が無い中お店で目当てのものを探したり発注したりする場合は材質の指定は非常に重要になります。

 

 ただ学校の場合、備品の管理をする立場だと必要な情報になりますが、ただ清掃をしているだけであれば、この「材質」で語られる場面はあまりありません。

 学校の清掃道具は画一的に揃えられていることが多く、各用途ごとに穂の素材が一種類であることが多いからです。

 

 学校では箒の形状による呼び名の方が使われやすいようです。では、その分類ではどのような箒があるのでしょうか。

 

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↑こちらは「座敷箒」です。学校では教室や廊下の掃除等で毎日のように使われます。

 

 

↑こちらは「万年帚(土間帚)」です。学校ではベランダや玄関等で使われるイメージで、「ベランダ用の箒」といった表現の方が通じるくらいだと思います。実際「土間」が一般的ではなくなってきたせいか、今回アマゾンで画像を探しところ「庭用」といった表現を使う方が多くなっているように感じられました。

 

 

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↑木の葉等を集める時に使う「竹帚」です。材質そのままの名前ですね。目が粗いため、小さな石をや砂をそのままにして、表面上の葉っぱやゴミだけを集めることができます。「たけぼうき」のほか「たかぼうき」と呼ぶこともあります。

 

 

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 ↑「自在箒」です。T字のシルエットをしていて、縦棒の部分をひねると横棒の部分を回転させることができます。たいていの場合穂が非常に細かく、かなり細かいゴミまで集められる道具です。小学校で使われることは稀ですが、中学校、高等学校と上がっていくにつれて教室等でも見かけるようになります。

 

 

↑「手帚」です。柄の部分が無いか、とても短いのが特徴です。材質は化学繊維や竹等いろいろなものがあります。

 

 箒の形状による呼び名の方を把握していれば、学校で困ることはないでしょう。もちろん材質ごとに細かい扱い方やお手入れ方法が異なるので、知らないより知っている方がお掃除上手な子どもになれるのではないかと思います。機会があれば、材質に注目してみてはいかがでしょうか。

 

◎呼び方よりコミュニケーション?

 

 このようにいろいろな呼び方のいろいろな種類の箒があり、名前を知っていると役に立つこともあります。

 

 私は玄関掃除等をする際に、万年箒のような形で穂が化学繊維のものを愛用しているのですが、そのように伝えると、短い表現でもどのような箒か伝わりやすいのではないでしょうか。

 

 ただ、地域によって別の呼び方が定着しているようなケースもたくさんあるでしょう。自分が一般的な名前を知っていたところで、クラスのお友達がその呼び方を知らなかったら通じないかもしれません。

 

 結局のところ、「ホウキ持ってきて」と誰かに頼む時、又は誰かに頼まれた時、一番重要なのは細かい呼び方に関する知識ではないのでしょう。「伝える工夫」「説明する技術」「質問する技術」等の方をより求められます。

 

「ホウキ持ってきて」

「教室用?ベランダ用」

「いやあの、かたい竹のやつ。葉っぱを集めるから。」

 

とか

 

「技術室にある箒見たいのが教室にあったら便利だと思った。買ってもらえないかな。」

「どんなのだっけ?」

「あの、Tの形してて毛が短いやつ。持つ棒のところは長い。」

「ああ、そんなのあったかも」

 

というように。

 

 今回扱ったように、一言で「ホウキ」と言ってもいろいろな種類があります。それを念頭に置いたうえで、相手がどんな箒をイメージしているのか、自分はどんな箒をイメージしているのか、それを意識して共通の「箒」を認識できるところまでコミュニケーションをとれるかどうかということになるでしょう。

 

 そう考えると、「自分の伝えたい箒」をいかに相手に伝えるか、「相手の言わんとする箒」をいかに理解するか、という練習をしてみることはコニュニケーション能力を把握したり、意思疎通の技術を高めるちょうど良い練習になるのではないでしょうか。

 もし機会があれば、身近な子どもと挑戦してみてください。

 

  最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  

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