ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

国語辞典で遊ぼう(後編)~教材で遊ぼう②~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 今回は、「国語辞典で遊ぼう」の続きです。

 

※前編はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

◎辞書への理解と楽しみ方

 

 前回は、国語辞典を使ってクイズを出す遊びを紹介しました。

 

 国語の授業の内容としては、国語辞典の使い方は小学3年生から学ぶ内容ですが、このクイズを答える側であれば低学年でも楽しめる子がいるでしょう。

 つまり、国語辞典時点への理解や知識がなくても参加可能なゲームです。知識があった方が有利にはなりますが、出題者側がその子の知っていそうな言葉を選んだりヒントを紙に書き出して見せたりするなどのある程度配慮をすれば、一緒に楽しむことができますね。

 

 ただ、出題者側にまわるとなると、それなりに「辞書の見方」を理解している必要があります。国語辞典にはたくさんの情報が詰め込まれていますが、それらはパターン化・記号化されているため、その法則性や見方を知らないと「出題に必要な情報だけ選んで読む」ということが難しいのです。

 でも「だから出題者側をやらせるべきではない」かといえば、そうでもないと思います。最初はおぼつかないかもしれませんが、他の人に教わりながら出題をしているうちに、見方をマスターできるという側面もあるのです。

 

 国語辞典で遊ぶためには、辞書に関する知識や理解が必要です。でも、反対に遊んでいるう日に知識や理解が深まっていくものでもありますので、「できなそうだからやらない」というよりは、「最初は難しいけれど、とりあえずやってみる」ことをお勧めします。一緒の遊ぶ大人の側が「その子が現在どのくらい理解できているのか」を意識してフォローを入れると良いでしょう。

 

 以下に、「辞書でゲームをする」時に必要になったり有利になったりする知識や技能を紹介しておきます。子どもと辞書で遊ぶ時は、これらをどのくらい身につけられている子なのかを意識してみてください。

 ちなみに、それぞれの項目に番号を振りましたが、難易度の順番等で並べているわけではありません。どれが身につけやすいかは子どもによって異なります。

 

 

◎国語辞典の活用に必要な知識

 

①50音と並び方の知識

 

 国語辞典の項目は50音順に並んでいます。「あいうえお」は文字を習いだした子どもの多くが言えるようになっていると思いますが、その後の「なにぬねの」や「まみむめも」あたりになると曖昧な子もいます。また、それを知っていても、「田んぼ」は「にんじん」よりも前のページにあるはず」という判断が難しい子もいます。さらに、田んぼとにんじんであれば「『た』だから『に』よりも前だな」と頭文字で判断できるようになっても、2文字目以降を比較するのというのは難しいという子も少なくありません。「田んぼ」と「たんけん」などを比較ということですね。濁音の有無などによる並び順のルールなども入れると更に複雑になります。 

 

②「どこまでが1項目なのか」の理解

 

 国語辞典を使用するうえでは、まず見出しともいうべき単語と、その単語についての説明で構成されていることを理解しなくてはなりません。とはいえ、見出しの単語は他の字に比べて太く大きく目立つように表示されていますから、それを理解するのはそれほど難しいことではないでしょう。

 ただ、「どこからどこまでが一つの単語に関する説明なのか」については、うまく判断できるようになるまでに時間がかかる子もいます。国語辞典といえば一般的に縦書きですから、1行が終わったら次は左の行に移るわけですが、慣れないうちは見つけた単語の右側まで読んでしまうこともあります。また、小学生くらいだとよっぽどの読書習慣がないと「段組みされた文字列」にふれる機会が滅多にありません。1段が終わったら同じ段のの隣のページではなく、同じページの下の段へ移ることなどにも慣れる必要があるでしょう。

 

③表現パターンへの理解

 

 国語辞典には実に多くの情報が詰め込まれていますが、それぞれがどういう情報なのかはいちいち丁寧に書かれていません。

 例えば、多くの国語辞典の場合見出しの語句はひらがなかカタカナで表示され、漢字で書くことができる語句は見出しのすぐ下に漢字でどう書くかが紹介されています。でもいちいち「漢字で書くと」といった説明はありません。

 漢字での書き方と前後して品詞の説明もありますが、こちらは「品詞は」とは書かれていないばかりか、略された形で表現されていることがほとんどです。例えば名詞なら「名」のみを四角で囲んだマークなどが利用されます。

 複数の意味があれば「①〇〇のこと。②✕✕を指す」というように表現されているのは比較的わかりやすいかもしれませんが、その後ろに、その語句の意味ではなくその語句を活用した例文などが紹介されている時もあります。その場合はそれが例文だとわかるようなマークが使われていはいるのですが、そもそもマーク自体も小さいですし、子どもの年齢によっては「例」の意味をまだ理解できていない場合もあります。

 1つの項目の表現パターンの他に「ページ」に関する表現もあります。多くの国語辞典では、それぞれのページの端に「このページの最初の単語と最後の単語」が書かれています。また、頭文字についても「現在『まみむめも』の『み』が頭につく語句です、このあとは『む』ですよ」といった情報がつたわるように表現されていることもあります。

 そうした辞書表現のパターンを理解するまでは、正しい情報を辞書から読み取るのも一苦労です。

 

④品詞や活用などの理解

 

 学校で国語辞典の使い方を学習する際に最初の方で習うことですが、動詞や形容詞のような活用する単語では「言い切りの形(終止形)」しかのっていません。「遊ぶ」「かわいい」はのっていても「遊ぼう」「遊ばない」「かわいくなる」「かわいかった」などは見出しにはないので、ゲームをする際にはそうした理解も必要になります。

 

 

⑤掲載されている語句の傾向

 

「とても」や「すごく」は辞書にのっていても、人によっては同じ意味で使用する「めっちゃ」などの言葉は多くの辞書では掲載されていません。固有名詞について有名な国名や歴史上の人物などはのっていますが、チェーン店やアニメのキャラクター名などはないですね。そうした感覚の有無もゲームの結果を左右します。

 

 

◎辞書の特色を生かした遊び

 

 上記のような知識・理解の有無をふまえて、ゲームの内容を調整すると、子どももより楽しむことができるでしょう。

 前回紹介したのは辞書に関する知識がそれほど必要のないものでしたが、今回はある程度理解の必要な遊びを紹介します。

 

 まず、一人が出題者、そのほかの人が挑戦者と決めます。

 出題者は辞書を見る係です。出題者が挑戦者として参加することも不可能ではないのですが、うっかり答えを見てしまいやすい立場なので、出題に徹したほうが無難でしょう。

 

 出題者は国語辞典の適当なぺージを開き、そのページの最後の単語を読み上げます。読み上げたら、その次の次のぺージを開き、そのページの最初の単語を読み上げます。

 挑戦者はその間のページにありそうな語句を一人1つ言います。その中でよりページの真ん中(右ページの左下か左ページの右上)に近い人が勝ちです。

 

 

◎最後に

 

・国語辞典も活用の仕方によってはゲームの小道具になります。

 

・ゲームに参加するためには国語辞典に関する知識がある程度必要になります。

 

・ただ、参加しながら身につけられるものも多いので、多少の知識さえあれば是非挑戦してみてください。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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