ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

忘れがちな「プリント学習」の基本~ピカピカの一年生の教養50~

 こんにちは、

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 今回の「ピカピカの一年生の教養」のテーマは「やる気がないとは限らない」です。

 

 記事のタイトルとテーマの表現にだいぶ違いがありますが、もちろん双方に関連のある記事になっています。

 

「お勉強」にはもちろんいろいろなスタイルがありますが、小学1年生の勉強としては学校の授業でも家庭学習でも「プリント学習」というものにかなりの時間をさくことになります。

 でも入学して間もない子どもの中には、プリントを渡されてもなかなかとりかからない子がいます。一見「やる気がない」ように見えるかもしれませんが、実はそうではなく「プリント学習の基本」が抑えられていないせいという場合があるのです。

 そういったケースでは、周囲の大人が「はやくやりなさい!」と言い続けてもあまり意味はなく、それよりもまずは基本を身につけられるよう声をかけることが重要だということになります。今回はそんなお話です。

 

 

◎ありがちな光景

 

 学校でプリント学習をするにあたり、まず最初にすることは何だと思いますか。

 

 基本的には「特定の位置に名前を書く」ことから始めます。場合によっては日付や学級名・出席番号も書きます。

 学年が上がっていくと配布されたプリントをその場でノートに張り付ける場合もあり、そうしたケースでは名前を書く必要はありません。でも、1年生うちは多くのプリントで「まず名前を書く」ということになります。担任の先生たちも、子ども達が慣れるまではプリントを配るたびに「まず名前を書きましょう」と声をかけるのです。

 入学したての1年生の中には、もちろんまだ自分の名前を書けない子もいます。でも、その点に関しては先生たちもわかっていますから、それぞれの机にその子の名前を書いたシールをはったり、場合によってはプリントに薄く名前を書き込んで「子どもはなぞるだけ」の状態にしておいたりと、子ども達がプリントに取り組みやすいような配慮をしています。

 

 ところが、プリントを受け取って「名前を書きましょう」と言われても、なかなか作業に取りかからない子がいます。周囲の席の子ども達が名前を書いていても、繰り返し名前を書くように言われても、いつになっても書きません。

 

 学校の先生が声をかけてもこうしたことが起こるなら、家庭でもきっと同じことが起こっているでしょう。宿題をするようにいわれても、なかなかとりかからないというのは、子どもの様子としてよく見られる風景ではないでしょうか。

 

 

◎とりかからない理由

 

 大人の感覚からすると、「話を聞いていない」とか「やる気がない」というように見えてしまうかもしれませんが、実はそうとは限らなかったりします。

「やらない」つもりはなく、「自分はプリントを取り組むべき」という意識があっても具体的にどう行動するべきかをイメージできていないために、じっさいの行動につながらないことがあるのです。

 

 例えば、山田太郎君という小学1年生の男の子が、国語のプリントを渡されて名前を書くように指示されたとしましょう。その時山田君はどのような行動をとるべきでしょうか。

 

 普通に考えれば「なまえの欄に『やまだたろう』と書く」というだけの話ですね。

 これまでに何年もプリント学習をしてきた子、兄姉の学習の様子をよく見てきた子、要領の良い子などにとっては、そうでしょう。

 でも、まだプリント学習というものを良く知らない子にとっては、「名前を書く」ということはもっと複雑な作業なのです。

 具体的な作業としては

 

①鉛筆を持つ。

②「なまえを書く場所」を見つける。

③その場所の一番上に「や」を書く。

④その下に「ま」を書く。

⑤同様の要領で「だ」「た」「ろ」「う」を書く。

⑥鉛筆を置く。

 

となります。やらなければならないことは意外と多いのです。

 

でも、これは鉛筆が机の上に出ている時の話です。そうでない場合はこれらの動作の前に

 

①引き出しを開ける。

②筆箱を取り出す。

③引き出しを閉める。

④筆箱をふたを開ける。

⑤鉛筆を取り出す。

⑥筆箱のふたを閉める。

 

という作業も必要になります。

 

「名前を書く」ようにいわれても、最初にやるべく具体的な行動は「名前」とも「書く」とも関係のない「引き出しを開ける」ことなのです。まだ「プリント学習」というものに慣れていないうちは、「なまえを書きましょう」「宿題をしましょう」といった指示から、こうした細かい具体的な行動のイメージにつなげることができず、途方にくれていることが、実は少なくなかったりします。

 

 ですから「名前を書きましょう」「宿題をやりましょう」といった声掛けを繰り返してもなかなか動かない子どもに対しては、「なんでやらないの!何度もいっているでしょう!」と語調を強めるよりも、「鉛筆を持って」とか「ランドセルを開けて、宿題を出して」というように、行動を細分化して声をかけてみることをお勧めします。それだけで、あっさり行動に移ることもかなり多いのです。

 

 

◎まとめると

 

 大人にとっては「シンプルな行動」でも、それになじみの無い子どもにとっては「かなり複雑な行動を積み重たもの」であるということは、少なくありません。

 その場合、簡潔な指示だけでは「具体的にどう行動するか」を判断できず、何もできなくなってしまうのです。

「子どもに繰り返し声をかけても行動にうつらない」という場合は、その行動の内容を細分化して声をかけてみることをお勧めします。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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