応用ルールの神経衰弱で数を学ぶ~ピカピカの一年生の教養⑳~
こんにちは、ベル子です。
「ピカピカの一年生の教養」では前回から、まだトランプに慣れていない子どもにも遊びやすいトランプゲームと、そのゲームのポイントについて考えています。
※前回の記事はこちら↓
前回は、初心者でも遊びやすい「ぶたのしっぽ」を紹介しました。今回は、もう少しだけ難易度の高いけれどもプレイしやすいゲームとして、「神経衰弱」を紹介します。
※ここで紹介するゲームはだいたい有名なもので、内容を知っている方も多いと思いますので、ゲームの説明は概要のみとしルールの詳細は省きます。地域によって呼び名やルールが変わることもありますので、詳細が気になる方は本やネットでいろいろ確認してみてください。
ゲームを紹介するにあたって、社会性・数の感覚:・器用さの3つの観点での難易度を書いておきますので、どのゲームがその子にあっているか考える基準にしていただければと思います。
(難易度は☆で表現しました。数が多いほど難易度が高いと考えてください。)
◎数の理解度合に応じてルールを変えられる「神経衰弱」
数字の面を見えないように並べ、プレイヤーが順番に2枚ずつ裏返して、同じ数のペアを見つけるゲームです。ペアになったカードを自分のカードにすることができ、最終的に取ったカードの枚数が多い人が勝ちとなります。
使用するカードの枚数を減らすことで一回のプレイ時間を調整することができるので、気軽に遊べます。
社会性 :☆☆
前々回の記事でも書きましたが、カードをめくる際にはそれが何のカードなのかを場の人間全員に見えるように配慮しなければなりません。
まだゲームに慣れていない子どもはそれに気づくことがなかなかできませんが、「今の何だったの?」「それじゃ見えないよ」と繰り返し声をかけていくことで、他の人の視点を意識できるようになります。
個人同士で競うルールですが、「みんなでゲームを楽しもうとする意識」を強く求められるゲームでもあります。
ゲームを進めるにつれて、ペアになったカードがなくなっていき場のカードがスカスカになります。その時に綺麗に並べなおそうとしてしまう子が時々いますが、これは当然、他のプレイヤーの覚えていたカードを勝手に動かす妨害行為です。
また、自分がめくったカードが気になる数だったとしても、自分の近くに戻したりしてはいけませんよね。どんなカードでも、「引いた場所に戻す」ことが一緒に活動するために必要だということもこのゲームのポイントになります。
さらに「自分の番」と「他人の番」をはっきり区別して行動することが求められます。自分の番の時であれば「7はこっちだったような気がする」など、自分の考えをしゃべったり、特定のカードを指でさしたりすることはほとんど問題になりませんが、他人の番の時には「思うところがあっても黙っている」意識が必要です
でも、他人の番の時はみんな黙り込んでいるかというと、そうでもないですよね。「常に自分が中心なのではなく、番が変わるごとに主役が変わり、常に主役を立てなくてはならない」という前提を理解することが楽しくプレイするポイントになります。「今は○○の番だからね」と丁寧に声掛けをしながら、主役になったり盛り上げ役になったりすることを学ばせることができます。
数の理解:☆☆
数字を読むことさえできれば、大小関係などの理解は必要ないので、数の知識がまだあまりついていない子でも遊べます
また、大人になると取ったカードを「〇組」で扱うことが多くなりますが、トランプ初心者の子どもは「〇枚」でとらえています。
どちらの数え方でも勝敗は変わりませんが、「〇組」や「2の倍数」の概念を覚えておくと、他の場面でも役立つでしょう。2列に並べて見せて「〇組で□枚」と言って聞かせるなど、大人が積極的に「〇組」の概念を伝える機会を持つと良いと思います。
器用さ :☆
「カードをめくって裏返しにする」という技能以外は特に必要ありませんが、「ぶたのしっぽ」に比べるとめくり方には少しコツがいります。
テーブルなどに伏せられたカードはピッタリくっついてしまってめくれないことがあり、テーブルの端まで引きずってひっくり返すことがありますよね。
「ぶたのしっぽ」の場合はそれで全く問題ないのですが、神経衰弱では周囲にカードが並べられているために端まで引きずるのが難しい時があり、その場で器用にひっくり返さないといけないのです。
大人でも「めくりづらい」と感じる時はあるでしょう。そうした「めくりづらさ」を解消するために、カードを並べる際、下にクッション性のあるものを敷いておくことをお勧めします。
バスタオルなどが一番使い勝手が良いようです。求められるのは「クッション性」なので、薄手のバスタオルならば、重ねて2枚にするとめくりやすくなります。
<オリジナルルール>
数が理解できていなくても遊べるゲームですが、ルールに少しアレンジを加えると、数の理解を深めることができます。それぞれの子どもの理解度合に応じて、ルールを変えてみると良いでしょう。
①足して10をつくる
一般的に「同じ数同士でペアをつくる」というルールですが、「足して10になる数同士でペアをつくる」というルールに変えます。10とJ、Q、Kは使いません。
1枚目が「3」だったら、もう一枚「3」を探すのではなく「7」を探すということです。
足して10になる組み合わせが覚えられていない時期でも、めくった2枚のカードにかかれたマークを数えることで10かどうかを確かめられます。
10の合成や分解は、算数の学習を進めていく上で非常に重要な概念になりますし、「10の半分が5になる」ことに気づくことも重要です。
ゲームを通して、覚えておけると良いですね。
②ポイントを競う
同じ数でペアをつくるところまでは基本通りですが、取ったカードの枚数を競うのではなく、1のカードは1点、3のカードは3点として計算するルールです。
数の大きいカードを集中して覚えた方が勝ちやすいということですね。
大小関係や、足し算の勉強になります。
マークの数を数えることで合計得点は出せますので、足し算の習得が不十分でも遊べますが、最初のうちは使用カードを1~5のみに絞るなどの配慮をしておくと取り組みやすいと思います。
慣れてきたら、得点計算の際に「なるべく10のまとまりをつくる」よう声をかけると良いでしょう。
例えば取ったカードが2,2,3,3,8,8、だったら、2+2+…と順番に足していくのではなく、「2と8で10になる」としてまとめます。10のまとまりが2つで20、残りの3が2枚で6なので、26点と計算するのです。
一年生になりたての頃にはまだ難しいと思いますが、こうした考え方に慣れていくと日常の中での計算も速く正確になりますし、学年が上がってからでてくる「計算の工夫」の単元で生かすこともできます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は2つのゲームを紹介したかったのですが、字数が多くなりすぎるため、神経衰弱のみの紹介になってしまいました。
次回の「ピカピカの一年生の教養」では、さらにもう少し難易度の高いゲームを紹介します。
★シリーズ次回記事はこちら↓★