ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

「かっこ」でくくる作文練習(補足)~今日から始める読書感想文⑯~

 

 こんにちは
キッズの教養を考える研究室、略して「ききょうけん」です。


「今日から始める読書感想文」では

第8回から、読書感想文の3つの要素「読書をする」「自分の感想を持つ」「文にまとめる」の3つ目、「文にまとめる」の話題に入っています。

 

 読書感想文のような長い文章は、

言葉をつなげて一つの文を作り、

文が集まって段落になり、

さらにその段落をいくつも書いて完成させるわけですが、

今回は「一つの文を書く」の最後の回になります。

 

 

 前回までの「『かっこ』でくくる作文練習」では、文の構造について詳しく書いていきました。

 

※前回の記事はこちら↓ 

kikyouken.hatenablog.com

 

 理屈っぽい内容なので、かなりややこしく感じた方もいるかもしれません。

 その理屈をふまえて、実際に文を書いていくにはどうするのか、というのが今回のテーマです。

 

 

◎言葉のリストをつくる

 

 まず、作文のテーマを決めます。

 読書感想文であれば「その本の感想」ですが、まずは他のテーマで「遠足に行ったこと」「私の家族」「今はやっている遊び」などでも良いと思います。

 

 そして、そのテーマから思い浮かぶ言葉を、100個ほど書き出します。

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 100個というとかなり多いように感じると思いますが、テーマの根幹にかかわっている必要はないので、思いついたものを全て書くようにすれば、かなり出てくると思います。

 例えば「遠足」がテーマであれば、まずは行先の公園や友達の名前などが浮かんでくると思いますが、「途中で魚屋の看板を見たな」という記憶があるなら、遠足の本筋と直接関係なくても「魚屋」「看板」などを書き出してしまって良いわけです。

 読書感想文であれば、とりあえず本の中の言葉から書き出していけば難しい数ではないでしょう。

 

 この時、

Aグループ=名詞関連で50個、

Bグループ=動詞と形容詞・形容動詞関連で50個、

と、わけて書き出すようにしてください。

 

 品詞の名前で言われると難しく感じる子もいるかもしれませんが、「名詞関連」は「ものや人の名前」という説明でだいたいわかると思います。「動詞や形容詞・形容動詞関連」の方は、「ものの名前以外で『〇〇する』『〇〇した』『〇〇です』『〇〇でした』のような形の言葉を書いて」と言えば伝わるのではないでしょうか。

 

 要は、Aグループで主語として使う言葉、Bグループで述語として使うための言葉をリストアップしています。子どもがグループ分けを迷うようであれば、とりあえず周囲の大人が分けてあげると良いでしょう。

 

「名詞関連」とか「形容動詞関連」というような書き方をしましたが、厳密には単語であることにこだわる必要がないからです。

 

 そもそも「〇〇でした」という形、たとえば「きれいでした」という言葉はすでに単語(形容動詞)ではなく、形容動詞と2つの助動詞が組み合わさったことばになっています。純粋に形容動詞として挙げるなら「きれいだ」でなければいけませんが、「述語(または述部)」として使える言葉であれば問題ありません。「並べた」ではなく「机を並べた」が出てきたなら、そのまま書き出してしまっても良いでしょう。

 ただし「きれいでした」を書いたら「きれいです」や「きれいだ」は数に含まず、まとめて一つ扱いにします。

 

「名詞関連」の方も、「友達」や「ジュース」という名詞だけでなく「転んだ友達」「冷蔵庫のジュース」などのようにつながっていても、そのまま書き出してしまってかまいません。

 

 そのような分類ですから、「キラキラ」や「大きな」等の副詞や連体詞はどちらのグループにも入れられないものの、「キラキラ光った」としてBグループ、「大きな犬」としてAグループに入れることはできます。

 

 

◎述語を決める

 

 それぞれのグループに入る言葉を書き出せたら、Bグループから抽選で一つ言葉を選んで述語にします。

 抽選の方法は、小さい紙一枚につき一つ、言葉を書いてくじにし、それを直接ひく方法などがあります。それぞれの言葉に番号をあてて、トランプなどのカードを利用して引いた数に応じた言葉を選ぶ方法もありますね。身近なものでできる方法でやってみてください。

 抽選せずに子どもに選ばせると、選ぶことに時間がかかりすぎてしまったり、途中で「やっぱりこっちにする」を繰り返して先に進まない場合があるので、抽選にしておくことをお勧めします。

 

 

 選んだ述語が「〇〇する」「〇〇した」なら文型①(「何はどうする」の文)、「〇〇です」「〇〇でした」なら文型②(「何はどんなだ/何だ」の文)になります。

 述語を決めたら、それに対応する主語を考えます。

 この時Aグループのリストが役に立ちますね。もちろん、リストにない言葉を主語にしてもかまいません。

 

 

 たとえば、「ぐったりしていた」を述語に決めたとしましょう。文型①ですね。

 主語を付けます。

 

僕は ぐったりしていた。

 

 これに他の要素を足して、詳しくしていきます。文型①では5W1Hを考え、その中で書き足せそうなものを書いていくと良いでしょう。自分で書きだすのが難しくても、大人が「いつ?」「どこで?」「どうして?」というように、聞いていくと少し思いつくようになります。

 

「たくさん歩いたので」「お昼を食べた後は」僕は「ベンチで」ぐったりしていた。

 

 最初に比べると、かなり長い文になりました。このくらいの長さで、一つの文は「完成」として良いでしょう。子どもにやる気があれば「どこまで長くできるか」を挑戦するのも練習になります。

 文が完成したら、また別の述語を決めて練習を繰り返します。

 

 

 今度は「おもしろいです」を述語にしてみます。文型②ですね。まず主語を考えます。

 

【ほら話が】面白いです。

 

 もう少し詳しく書くことを考えます。文型②なので主語を膨らませることを考えてみましょう。

 

【主人公たちが作ったほら話が】面白いです。

 

 このような練習を繰り返して、文を書くことに慣れていきます。

  

 

◎主語でも挑戦

 

 前回書いた通り少し難しくなりますが、作文に慣れてきたら、抽選で決めた主語に続く述語を考える練習にも挑戦してみましょう。

 Aグループから名詞を一つ選び出し、その後ろに「が」(または「は」)を付けて主語にします。

 

 例えば「主人公」という名詞が抽選で選ばれたら、「主人公が」を主語にして述語を考えます。グループBの中に、使えるものがあるかもしれませんね。

 

主人公が 活躍した。(文型①)

【主人公が】 すごい。(文型②)

 

 その後の「かっこ」で他の要素を足していくのは、Bグループで作文した時とかわりません。

 

 

 もし、主語に対応する述語が思い浮かばなかった場合は、「ある」「ない」「いる」「いない」を使って文型③にします。

 この場合は「主人公が」より「主人公は」の方が使いやすいかもしれません。

 人を表す名詞であれば「いる」「いない」のいずれかを使って、

 

【主人公は】いる。

【主人公は】いない。 

 

というような文が作れますね。そこに「かっこ」で他の要素を足したり、主語自体を膨らませます。

 

【主人公は】「生まれたときからずっと」「不思議な街に」いる。

【こんなに勇気のある主人公は】「現実には」いない。

 

 

◎まとめると

 

・最初に主語か述語を決めて、それに対応する主語または述語を考えることで、一つの文ができます。

 

・その文に「かっこ」でいろいろな要素を足していくと、長い文を書くことにも慣れられます。

 

・まずは、テーマに合った言葉をたくさん書き出すことから始めましょう。

 

 

  最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 次回の「今日から始まる読書感想文」からは「複数の文をつなげて段落をつくる」テーマに入ります。