ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

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勝ち抜き戦方式で考える(小2の足し算)~立ち読み計算ドリル②~

 

 こんにちは

キッズの教養を考える研究室「ききょうけん」のベル子です。

 

 先週から始めた「立ち読み計算ドリル」は、なるべく紙と鉛筆を使わないで計算問題を解く方法を考えるというコンセプトの記事です。

 

※前回の記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com

 

 前回は割り算で小学5年生程度の難易度でした。少し複雑な方だったと思いますので、今回は少しシンプルな小学2年生くらいの足し算を題材にしたいと思います。

 

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◎まずは問題です

 

<問題>

 

 Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人で的当てゲームをしました。

 3回ボールを投げて、3回分の点数の合計が一番高い人が勝ちです。

 それぞれの点数は以下の通りでした。

 優勝したのは誰ですか。また、優勝者の得点は何点だったでしょうか。

 

Aさん→30点、50点、80点

Bさん→40点、80点、30点

Cさん→50点、50点、80点

Dさん→10点、70点、90点

 

 

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<答え>

 

 正解はCさんで、180点です。

 

 問題としてはそれぞれ3つの数を合計すれば良いのですから、それほど複雑ではありませんね。仮に電卓でも使って1つずつ計算結果を書き出していって比べればすぐに正解はわかるでしょう。

 ただ「紙と鉛筆を使わずに考える」となると、ちょっと厄介です。

 Aさんの合計点を出すだけなら良いのですが、そうして出した合計を頭の片隅に置きながらBさん、Cさん、Dさんの合計点を計算するとなると、だんだんややこしくなってきますね。

 

 そこで、勝ち抜き戦方式での考え方を紹介します。

 

 

◎勝ち抜き戦方式のメリット

 

 頭の中で4人の合計点を同時に比べるとなると、覚えておかなくてはいけないことが多くなって大変です。

 

 そこで、2人分ずつ比較することを考えます。

 

 優勝者を答える問題ですから細かい順位は必要ありません。「誰かより合計点が低い」ことが明らかになった時点で優勝の可能性はなくなりますから、その人の点数に関しては、その後一切考える必要がなくなります。

 

 2人分ずつ比較することには、もう一つメリットがあります。

 それは「2つの比較であれば、厳密に合計点を算出しなくても、大小関係が分かることも少なくない」ということです。

 

 実際に、先ほどの問題で考えてみましょう。

 

 

◎実際の考え方 

 

 とりあえず、並んでいる順に比べていくことを考えます。

 まずはAさんとBさんだけに注目して、どちらの合計点が高いかを考えてみましょう。

 

Aさん→30点、50点、80点

Bさん→40点、80点、30点

 

 今回の「的当て」のようなゲームだと、獲得するポイントの種類は限られています。

 そのため、見比べてみると同じ得点をとっている箇所が見つかる場合も少なくありません。まずはそれを探してみます。

 

Aさん→30点、50点、80点

Bさん→40点、80点30点

 

 2人とも、30点と80点を1回ずつ取っています。この共通の得点部分は当然同じ点になりますから、それ以外の部分の得点を比較して、点数の高い方が勝っていると言えるでしょう。

 共通の30点と80点を除いた部分はAさんが50点、Bさんが40点ですから、2人の勝負としてはAさんが勝っていますね。この時点でBさんは優勝の可能性が消えていますので、これ以降、Bさんの得点を考える必要は一切なくなります。

 

 

 では次に、Aさん対Bさんの勝負で勝ち抜けたAさんと、Cさんの点数を比較してみましょう。間にBさんの点数が見えるので少し比べづらいのですが、「AさんとCさんに集中する」ことを意識すれば、比較はできると思います。

 

Aさん→30点、50点、80点

Bさん→40点、80点、30点

Cさん→50点、50点、80点

 

 ここでも、AさんとCさんの2人に共通する部分を探して除外すれば、どちらが勝っているかすぐにわかります。

 

Aさん→30点、50点80点

Bさん→40点、80点、30点

Cさん→50点、50点80点

 

 共通部分以外の点数を比較すると、30点対50点でCさんの勝ちです。これがわかった時点でAさんは優勝していないことが確定し、今後はAさんの得点を考える必要がなくなります。

 

 最後に、3人の中で勝ち抜けたCさんと、残りのDさんを比較して、点数の高い方が優勝者ということになりますね。

 

Aさん→30点、50点、80点

Bさん→40点、80点、30点

Cさん→50点、50点、80点

Dさん→10点、70点、90点

 

 この2人には、共通する点数がありませんでした。ただ、「同じ点数になっている部分を除外する」という考え方としては、一つ一つのデータではなく組み合わせを探して除外することも可能です。

 

 例えば、きりの良いところで2つで100点になる組み合わせを、それぞれの点数の中で考えます。

 

Cさん→50点50点、80点

Dさん→10点、70点、90点

 

 CさんにもDさんにも、足して100点になる組み合わせがありました。これらを除外して、残りの数の大小関係を考えれば答えを出すことができます。

 

 もっとも、この組み合わせを探すには10の倍数同士の足し算(30+40=70など)を暗算でできるようになっている必要はありますね。これはいろんな場面で使いますから、是非繰り返し練習して身につけておきましょう。

 

 

 さて、残りの点数に着目します。

 

Cさん→50点50点、80点

Dさん→10点、70点、90点

 

 Cさんが80点でDさんが70点ですからCさんの勝ちで、優勝者はCさんということになりますね。

 

 

 後はCさんの合計点を計算して終了です。

 

Cさん→50点50点、80点

 

 ここでは素直に3つの数を足すしかありませんが、既に前の2つ(赤い部分)の50点+50点で100点というところまでわかっていますから、100点に3つ目の得点80点を足して180点です。

 

 よって、正解は「Cさん、180点」ということになります。

 

 

◎補足とその他の考え方

 

 今回のような計算は小学校2年生くらいの難易度ですが、同じような考え方は中学校に入っても「複数の三角形の周の長さを比較する」等の問題で活用されることがあります。

 

 

 また、「合計して同じ点数になっている部分を除外する」という考え方としては、データの中で比較的小さい数を足してみる方法もあるので、補足として紹介しておきます。

 

 例えば先ほどのCさんとDさんの例で考えてみましょう。

 

Cさん→50点、50点、80点

Dさん→10点、70点、90点

 

 この中では、Dさんの10点が他の点数に比べてとても低いですね。この10点を、Dさんの得点で2番目に低いものと組み合わせて一つの数にすることを考えます。

 

Cさん→50点、50点、80点

Dさん→10点70点、90点

 

 10+70=80です。この問題では、この「80点」がCさんの得点とも共通しているため、それを使って比較することもできるのです。

 

Cさん→50点、50点、80点

Dさん→10点70点、90点

 

 残りの「50点+50点」と「90点」を比較することで、どちらが多いか判断します。100点対90点で、やはりCさんの勝ちです。

 

 

 

◎まとめると

 

・「どれが一番大きいのか」といった問題の場合、全体をまとめて比較せず「勝ち抜き戦方式」で考えた方が楽になる時があります。

 

2つを比較して段階で小さいものは「一番大きい」ものにはなり得ないのですから、それがわかった時点で頭の中から除外して考えることが可能です。

 

・2つのデータの大小関係を比較する場合、数の特徴に着目することで全て計算しなくてもどちらが大きいかわかることも少なくありません。それも「勝ち抜き戦方式」のメリットだと言えるでしょう。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。