ききょうけん(キッズの教養を考える研究室)

「キ」ッズの「教」養を考える「研」究室

ミカンは黄色かオレンジ色か~ピカピカの一年生の教養④~

 こんにちは、ベル子です。


 今日の記事は、小学一年生の生活にどんな知識や技能が必要なのかを考える、「ピカピカの一年生の教養」シリーズの第4回目です。

 

 前回の記事では「入学したばかりで文字も数も習っていない一年生に指示を伝えるために、学校では『動物』や『果物』、『記号』や『色』などを使って説明をする」ということを書きました。そして「色」を除く「動物」「果物」「記号」について、それぞれよく使われるものを紹介させていただきました。
 (※前編はこちら↓)

 

kikyouken.hatenablog.com

  

 今回は残りの「色」についてお話ししていきたいと思います。

 

◎他の言葉を補足できる「色」

 

 前回の記事で、「『色』は他のもの(動物・果物・記号)と組み合わせて使うことも多い」と書きました。
 

 一言で「組み合わせて使う」といっても、実際には大きく分類すると2通りの使い方があります。
 

 例えば教室で先生が、「絵の中の、赤い服を着たリスを見てください」というように、目印の動物に色の情報を組み合わせて指示したとしましょう。
 

 まず、赤い服を着たリス以外に、絵の中に青い服を着たリスや黄色い服を着たリスがいる場合が考えられます。いろいろなリスの中で、どのリスを見てほしいかを特定するために色を使っているのです。

 

 もう一つの使い方では、リスは赤い服を着ている一匹だけで、青や黄色の服を着たリスは出てきません。青い服のタヌキや、黄色い服のキツネ等が出てきます。

 

 前回も書きましたが、耳の長いウサギや鼻の長いゾウに比べるとタヌキやリスはイラストで判別しづらい動物です。しかし赤い服を着ているのがリスだけなら、リスがどんなものか良くわからなくても、どの動物を見れば良いかがわかります。そして「ああ、これリスなんだ」と動物の絵を覚えていく助けになるのです。

 

 実際には後者のような使い方をすることがかなり多いので、色を覚えておくだけでも他の知識の不足を補うことが期待されます。是非、基本的な色は覚えておくようにしましょう。


◎どんな色を覚えておけば良い?

 色の名前としては、入学時に学用品として購入するクレヨン(クレパスなど)や色鉛筆(又はクーピーなど)の色と「金」「銀」を覚えておけば、困ることはないでしょう。

 こちらは、学用品として使用されるクレパスの一例です。

 (※楽天へのリンクです)

 

 

 ふたの裏側に色の名前が書いてあります。

 

 赤、橙色、黄色、黄緑、緑、水色、青、紫、桃色、薄橙、黄土色、茶色、こげ茶、黒、灰色、白です。

 

 これらの色を覚えているかどうか、確かめてみると良いということですね。

 

 ただ、「橙色」よりも「オレンジ」、「桃色」よりも「ピンク」という表現を使う先生や子どもも多いので、「オレンジ」「ピンク」も覚えておいた方が良いでしょう。

 

 それでも、画風によって見た目が異なる動物や果物に比べると、覚えなければいけないことが少なくて、使いやすい便利な言葉です。 


◎「色」をめぐって時々起こるトラブル

 そんな便利な「色」なのですが、一つ困ったことがあります。

 

 それは、同じ色でも、場面や人によって呼び方が変わるということです。

 

 皆さんも運動会で「赤組」が「ピンク」のバトンでリレーをしていたり、「白組」がよく見ると真っ白ではない「とても薄いベージュ」の玉で玉入れしていたりするのを見たことがありませんか?

 

 場面によっては赤もピンクもまとめて「赤」と呼び、他の色に対して極端に色が薄ければ多少の色がついていても「白」と言ってしまうというのはよくある話ではないでしょうか。

 

 また、同じミカンを見ても「黄色い」と感じる人もいれば「オレンジ色」と感じる人もいます。そのため「あそこにある黄色い旗のところに行って」と指示されても、その旗がオレンジ色にしか見えない人は「え?どこに黄色い旗があるの?」と戸惑うことになります。

 

 大人になると、そういった色の呼び方の曖昧さを理解していますし、状況から推測する力もついているので、大抵は「あのオレンジの旗を『黄色』と言っているんだろうな」と察することができます。

 

 しかし幼いうちは、自分が「オレンジ」に見えた色は絶対に「オレンジ」としか呼ばれないはずだと思っていたり、ピンクを赤と呼ぶのは間違いだと思っていたりすることがあります。

 

 そのため、前述のような「黄色い旗のところに行って」という指示の意味が分からずに立ち尽くしてしまったり、自分の感覚と違う呼び方をする友達の発言を「それは黄色じゃないよオレンジだよ」と無理やり正そうとして喧嘩になったりというトラブルが時々起こってしまうのです。

 

◎曖昧さと多様性の理解

 そのようなトラブルを防ぐためには、色の関係性や曖昧な分類を覚えておくと良いでしょう。

 

 例えば先ほどご紹介したクレパスもそうですが、こうした「〇色入り」の商品の多くは、似ている色同士が隣り合う状態で箱の中に収められています。これと同じイメージで、折り紙や色鉛筆などを使って「似ている色同士を並べる練習」をしてみることをお勧めします。

 

 例えば大人が子どもの前で、色鉛筆を赤→(空白)→黄色→(空白)→緑と並べて見せて、残りの色鉛筆から空白に入る色を探させるといった内容です。

 

 そうして「近い色」や「全く違う色」が理解できたら、「白っぽい」や「黄色っぽい」のように「○○っぽい」という表現を使わせてみましょう。

 

 また実際の野菜を並べて、赤と緑のグループに分けさせてみるのもおすすめです。キャベツは厳密には緑色ではないように思いますが、赤か緑かと聞かれれば緑のグループですよね。そのように「一つのものの実際の色にこだわらず、相対的にどちらなのかで色を表現する」という経験も必要だと思います。

 

 そして何よりも、色の表現の仕方は、人によって少しずつ違うということを伝えておくことが重要です。それは「自分が楽しくても、相手は嫌だと思っているかもしれない」というような他者への理解にもつながっていきます。

 

◎まとめると

 ・基本的な「色」を覚えておくと、学校生活でとても役に立ちます。


 ・ただし、場面や人によって「色」の表現の仕方が異なるということを知らないと

 トラブルになる場合もあるので、その対策も考えておいた方が良いでしょう。
 

 ・「色」の表現の多様性を学ぶことで、トラブルを防ぐことができ、

 他者への理解を深めることもできます。

 


 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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 シリーズ次回記事はこちら↓

kikyouken.hatenablog.com