「左右」より厄介な「上下」~ピカピカの一年生の教養⑧~
こんにちは、ベル子です。
ピカピカの一年生の教養シリーズ、前回の「左右の理解」に続き、今回は「上下の理解」について考えます。
(※前回の記事はこちら↓)
◎大人が思うより難しい「上下」
小学一年生の学習の様子を見ていて、左右よりも厄介だと感じるのが「上下」の理解です。
前回も書きましたが、この年代の子どもと接する大人はたいてい「この子は左右がまだわからないかも」と思いながら接しているので、わかっていないようだと判断すれば別の方法で指示を伝える工夫をします。
そのため、左右を覚えていなくても、「指示が理解できなくて戸惑う」ということは少ないのです。
ところが「上下」は「わかっているはず」と思い込んでしまい、ついつい安易に使ってしまうことがあるのです。
「いや、実際『うえ』と『した』はわかっているでしょう。」と思った方は、試しに「うえ」の方向を指さしてみてください。指の先の方向に何がありますか?
仮にこの記事をパソコンで読んでくださっているのなら、指は天井をさしているのではないでしょうか。
では、ご自身のパソコンのキーボードの、上の方にはどんなキーがあるか見てくださいと言われたらどうでしょう。
天井の方ではなく、前の方を見ますね。
パソコンではなくスマホやタブレットを水平にして読んでいる方でしたら最初の時点で前方を「うえ」だと考えたかもしれません。でも「ご自身の頭の上」と言われたら、前方が「うえ」だとは思いませんよね。
一般的に「うえ」というと上空を考えますが、本を読んだりプリントを見たりしている時の「うえ」というのは、自分の前方を指しています。さらに、「ブラウスの『うえ』にセーターを着る」という表現もあるように「うえ」という言葉が表す方向は一種類ではありません。
大人は日頃、状況に応じてそれを使い分けているのです。
「うえ」と「した」という言葉を知っていても、子どもはまだその多様性の理解が不十分で、うまく切り替えることができないことがあります。そして「プリントの右上を見て」と言われても、右上空を連想してしまい話についていけないということも時々起こります。
この「プリントの上下」という概念は学校生活でよく使うので、その表現に慣れていないようであれば、あらかじめ練習しておくと良いと思います。
これも視覚的に覚えておくことが効果的なので、ご家庭での学習時にプリントの上部に「うえ」下部に「した」と書いたうえで、「一番上の絵に色を塗ってみよう」とか、「〇印の下を読むよ、下ってどっち?」と声をかけてみるのがお勧めです。
座る向きが決まっているのなら、机にシールを貼って目印にする方法もあります。
練習を繰り返すうちに、子どもは少しずつ「上下」の概念の理解を深めていきます。また、それ以上に大人の側が「左右と同じように上下もわかりづらいのかもしれないな」「言いかえて説明してみようか」と意識でき、宿題を見るときなどに子どもと話しやすくなるメリットが大きいと思いますので、是非試してみてください。
◎まとめると
・学校では「うえ」「した」という表現をよく使いますが、これは状況によって
表している方向が変わります。
・子どもはその状況で使い分ける力がまだ不十分です。
・プリントの「上下」に慣れていない子は、視覚的に印象が残るような練習を
してみると良いでしょう。
・何より、接する大人の側が「わかっていないかも」と思っておくことが
重要だと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
シリーズ次回記事はこちら↓